日本外科系連合学会誌
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臨床経験
閉鎖孔ヘルニアの非観血的整復法の検討
登内 晶子
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2015 年 40 巻 4 号 p. 663-667

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抄録

閉鎖孔ヘルニアに対する非観血的整復法の有用性について検討した.方法:自験例と2007年から2013年の閉鎖孔ヘルニア本邦報告例のうち,非観血的整復例47例の治療成績について検討した.結果:整復法について記載のあった182例のうち非観血的整復例は26%を占め,超音波プローベ併用による整復や,用手圧迫による整復が行われ,CTや超音波画像によって腸管嵌頓が整復されたことを確認した.整復例では待機的手術で全身麻酔以外の麻酔法も選択可能であり,さらに鼠径法,腹腔鏡法などの低侵襲な治療法も選択されていた.非観血的整復例では観血的整復例と比較して有意に術後合併症発生率が低下していた.結語:閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する非観血的整復法は,明らかな腸管虚血を疑う所見がない場合に治療の第一選択とすることで,高齢患者に対してより低侵襲な治療法選択となる.

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© 2015 日本外科系連合学会
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