日本外科系連合学会誌
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症例報告
ベバシズマブ併用化学療法施行中に後腹膜血腫をきたした進行直腸癌の1例
下山 ライ磯貝 尚子河内 順荻野 秀光渡部 和巨
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2015 年 40 巻 4 号 p. 791-795

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抄録

進行・再発結腸直腸癌に対するベバシズマブ併用化学療法施行中に後腹膜血腫をきたした1例を経験したので報告する.症例は60歳女性.下血を主訴に当院受診し諸検査にてT3N2M1 Stage Ⅳ直腸癌と診断された.XELOX+ベバシズマブによる化学療法を3コース施行後,低位前方切除術を行い,その後再度XELOX+ベバシズマブ療法を開始した.4コース目投与後8日目に頭痛と左側腹部痛を認め,CTにて左後腹膜血腫と診断された.入院の上保存的に加療し投与後15日目に退院となった.ベバシズマブ併用化学療法による合併症として重篤な出血は国内で0.6~1.4%,海外で3~6%と報告されているが,後腹膜血腫の報告はなく海外も含めて本症例が初報告例となる.出血の程度により重篤となりえるため留意すべき合併症と考えられる.

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© 2015 日本外科系連合学会
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