日本外科系連合学会誌
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症例報告
膵尾部癌術後局所再発に対し陽子線療法を行い胃結腸瘻を合併した1例
石戸 保典佐藤 雅彦渡部 英根上 直樹斎藤 徹也岡田 治彦山田 正樹高橋 由佳
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2015 年 40 巻 4 号 p. 807-811

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抄録

症例は74歳,男性.2009年5月に膵尾部癌の診断で膵体尾部脾切除術を施行した.術後はTS-1による補助化学療法を行っていたが,同年11月にCA19-9の上昇を認めた.2010年1月よりgemcitabine(GEM)に変更したが,6月のCT検査で局所再発を認めた.他臓器に転移を疑う所見はなく,2011年2月から4月に局所再発巣に対し陽子線療法を行った.同年7月に便汁の嘔吐が出現したため,上部消化管内視鏡検査を施行,胃結腸瘻を認めたため入院となった.陽子線療法後の胃結腸瘻と診断し,同年9月に上行結腸に人工肛門を造設した.人工肛門造設後は便汁の嘔吐はなくなり,胃結腸瘻は閉鎖したと考えられた.2012年1月に行った上部消化管内視鏡検査では, 閉鎖した瘻孔の瘢痕部から行った生検で膵臓癌の再発を認め,GEMによる化学療法を継続した.

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© 2015 日本外科系連合学会
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