2015 年 40 巻 5 号 p. 869-874
症例は71歳男性.近医で貧血を指摘され精査し径26cmの壁外発育型巨大胃Gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)を診断された.イマチニブによる治療が開始されたが腫瘍径の増大を認め当院へ紹介となった.腹部造影CT検査では胃内に突出する造影不均一な腫瘤と連続し,腹壁,膵,横行結腸を圧排する周囲との境界が比較的明瞭な30×25×18cm大の多房性囊胞性腫瘍を認めた.以上に対して開腹手術を施行した.膵体部,横行結腸間膜とは強固に癒着していたが腫瘍周囲の臓器浸潤は認めなかった.楔状胃切除により腫瘍を摘出した.病理組織学的所見では長楕円形核を有する紡錘形細胞が密に増殖する像を認めた.免疫染色にてKIT陽性,CD34陽性であった.術後18カ月を経過,再発は認めていない.本例のように直径30cm大に巨大化した胃GISTの報告は稀であり,文献的考察を含めて報告する.