抄録
症例は62歳女性.53歳時,右乳癌(invasive ductal carcinoma,papillotubular carcinoma,pT4bN3aM0,Stage ⅢC,ER(+),PgR(+),HER2(3+))の診断にて右胸筋温存乳房切除術施行後,化学・ホルモン療法施行.術後5年目,右鎖骨上リンパ節転移,多発骨転移,肺転移出現.化学療法・ホルモン療法にて肺転移消失.その後4年間,転移性骨腫瘍は再燃軽快を繰り返すも,逐次薬剤を変更しlong SD(stable disease)の状態であった.術後9年目,転移性肝腫瘍(組織生検にて乳癌肝転移)および直腸癌を認めたため,ハルトマン手術を施行.手術所見にて直腸癌原発巣周囲に腹膜播種を認め,病理組織所見により腹膜播種は乳癌由来と判明した.更に直腸癌原発巣漿膜側で腹膜播種した乳癌と直腸癌が衝突していたという極めて稀な症例を経験したので報告する.