目的：食道癌術後の経腸栄養（Enteral nutrition：EN）開始時期について検討した．対象と方法：対象は，術前治療のない右開胸食道切除が施行された胸部食道癌手術症例のうち術後ENが施行された30例．術後２日目以内にENを開始した13例（早期群）と３日目以降に開始した17例（後期群）に分け，患者背景，血清アルブミン（Alb），C反応性蛋白（CRP）の推移，Total parenteral nutrition（TPN）併用，EN関連合併症，Systemic inflammatory response syndrome（SIRS）期間，術後合併症，術後在院期間について比較した．結果：TPN併用は早期群で有意に少なく，SIRS期間は早期群で有意に短かった．術後合併症とEN関連合併症は，両群間で有意差は認めなかった．術後の血清AlbとCRPの推移は両群間で有意差はなかったが，術後３日目のCRPは早期群で低い傾向を認めた．結語：食道癌術後の早期ENは，術後炎症反応軽減に有用で，ENに関連した消化器合併症が増加することなく安全に施行可能である．
