抄録
症例は75歳男性.14年前に,食道癌に対し右開胸開腹食道亜全摘術,胸壁前胃管再建を施行.14年後,逆流症状を自覚し,6カ月間様子をみていたが改善認めず近医を受診,進行胃管癌と診断された.手術目的にて当院紹介受診,胃管癌Type 2,35mm,por,T4a(SE)N1M0 cStage ⅢAと診断した.手術は,食道胃吻合部周囲が癒着のため剝離困難であり,腫瘍から口側5cm断端距離を確保し,口側胃管約5cmを温存し肛門側胃管を切離,第2空腸動静脈と内胸動静脈の血管吻合を伴う有茎空腸でのR-Y法で再建した.病理診断は,神経内分泌への分化を有する低分化腺癌であった.術後合併症はなかった.胃管癌術後4年2カ月現在,無再発生存中である.胃管再建後に長期間経過した症例では胃管先端の血流は周囲結合組織から供給されている可能性がある.従って,根治性を確保できる場合,胃管先端の温存を念頭に置いた術式も選択肢となるものと考えられた.