抄録
症例は76歳,女性.右季肋部痛を主訴に近医受診し,精査目的に当院紹介となった.上部内視鏡では胃体上部大彎に小陥凹病変を認め,生検で印環細胞癌と診断された.腹部造影CTにて胃周囲リンパ節の腫大と胃壁肥厚を認めた.リンパ節転移を伴う胃癌の診断で胃全摘術を施行した.術中所見で小腸間膜の一部に数個の結節を認めたため,摘出し病理検査へ提出した.最終診断は低分化型腺癌/印環細胞癌,pT1a(M),ly0,v0,n(18/69)(#4sa,#7,#8a,#10)であり,原病変は約10mm×10mmの胃粘膜内癌で潰瘍瘢痕はなかった.小腸間膜結節は胃癌の転移と診断された.腹膜播種をきたした胃粘膜内癌の極めて稀な1例を経験したので報告する.