抄録
外傷性会陰部膿瘍,特に巨大なものは珍しい.43歳男性が会陰部の腫脹・疼痛を訴え当院救急外来を受診した.患者は24日前に橋から川に転倒し背部と臀部を強打した.同日,近医を受診し,腰椎横突起骨折・臀部打撲の診断を受けた.鎮痛剤が処方され背部痛は軽快したが,会陰部痛は徐々に増強したため当院救急外来を受診した.MRIにて11×6×6cmの会陰部膿瘍を認めたため,直ちに会陰部を縦切開し血性膿液を除去しデブリドマンを施行した.創部からの分泌物の細菌培養でEnterobacter aerogenes,Staphylococcus epidermisが検出された.Cefotiamを10日間静脈投与後,ST合剤の経口投与に変更した.開放創を連日生理食塩水で洗浄し,ポビドンヨードシュガーを創部に投与した.本薬剤は感染のある創,浸出液の多い創に有用で,今回の創はそれに合致する状態であった.しかし創部の状況を評価することなく病院に長く居たいとの患者の希望があったため第53病日に退院となった.外傷に起因した会陰部膿瘍は極めて稀でありわれわれの検索した限りでは,過去50年間本邦報告例はなかった.このような症例の報告は本誌の特性から,泌尿器科以外の他科に知ってもらうことは有用ではないかと考え報告する.