抄録
症例は69歳男性.約30年前から痔瘻を指摘されており,2年ほど前にも手術もすすめられていたが放置していた.臀部の疼痛と排膿の増悪を認め受診し,肛門周囲に約9cm大の粘液を伴う腫瘤を認めた.精査治療目的で入院,2度の生検組織診断で悪性を認めず,診断および感染のコントロール目的に2期手術を選択,S状結腸の双孔式人工肛門造設術と膿瘍腔掻把術を施行した.病理組織学的検査で痔瘻癌と診断され,初回手術後34日目に痔瘻癌根治術として腹会陰式直腸切断術を行い,会陰部の広範な皮膚欠損部に対し,腹直筋皮弁による会陰部再建を施行した.術後経過良好で,術後41日目に退院した.
左鼠径部リンパ節転移を認め切除を施行,現在3年経過し再発を認めていない.
腹直筋皮弁は,広範な皮膚欠損部を覆うことができ,会陰部の再建に有用であると考えられた.