日本外科系連合学会誌
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症例報告
膵管出血をきたした膵頭部動静脈奇形の1例
船木 玲奈若林 俊樹佐藤 勤菊地 功新保 知規太田 栄
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2016 年 41 巻 5 号 p. 820-825

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抄録

症例は39歳,男性.背部痛と吐血を認め救急外来を受診した.上部内視鏡検査を施行したところ,胃十二指腸に明らかな出血源はなかったが,十二指腸乳頭部より滲み出る出血を認めた.造影CT検査では動脈早期相で膵頭部に拡張蛇行した異常血管網と動脈門脈瘻を認め,膵頭部動静脈奇形(AVM)と診断され,これが出血源と推測された.待機的な手術を予定したが,その後も吐下血を繰り返したため緊急手術を施行した.開腹所見で,膵頭部にAVMを認め,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理所見で,筋性動脈と静脈が著増と両者の移行,器質化した血栓,さらに血管の一部が主膵管に穿破している像が認められた.術後経過は良好で,術後第18病日に退院した.術後造影CT検査ではAVMは切除され動脈門脈瘻は消失していた.

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© 2016 日本外科系連合学会
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