日本外科系連合学会誌
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臨床経験
腹腔鏡下手術におけるエノキサパリンナトリウム投与の使用経験
阿部 厚憲永生 高広金沢 亮渋谷 一陽松澤 文彦森田 恒彦本間 重紀川村 秀樹武冨 紹信
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2017 年 41 巻 6 号 p. 897-901

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抄録

はじめに:深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症は周術期に起こりえる重大な合併症の一つでありガイドラインに基づいた周術期予防が提唱されている.今回われわれは腹腔鏡補助下手術でのエノキサパリンナトリウム投与の臨床経験を報告する.

対象と方法:対象は40歳以上の胃癌・大腸癌患者計35例.開腹手術は16例.腹腔鏡手術は19例.エノキサパリンナトリウムを術後第1病日夕より1日2回(2,000IUX 2回)皮下注射で開始し術後7病日まで投与した.

結果:開腹群で深部静脈血栓症・肺塞栓症を1例認めた.両群間で術後Hb変化に有意差を認めず.腹腔鏡群で1例吻合部からの出血が疑われたがエノキサパリンナトリウムを中止することで止血された.

結語:腹腔鏡手術において開腹症例と同様のエノキサパリンナトリウムを使用しているクリニカルパスを用いても合併症の発生頻度や臨床経過の違いを認めなかった.

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© 2017 日本外科系連合学会
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