2017 年 41 巻 6 号 p. 935-940
症例は66歳,女性.2014年6月に近医で貧血を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.上部消化管内視鏡検査では穹隆部に粘膜下腫瘍を認め,腹部CTで肝外側区域と膵体尾部に広範囲に接する大きさ16×10×10cmの巨大な胃腫瘍を認めた.EUS-FNAを行った結果,c-kit(+)で胃GISTと診断された.PET-CTで遠隔転移を示唆する所見はなかったが,患者希望で,術前に化学療法を行う方針となり,2014年9月よりイマチニブ400mg/日の投与を開始した.化学療法開始後6カ月目のPET-CTでは,腫瘍の若干の縮小およびFDG集積の低下(SUVmax:5.6→2.7)を認めていたが,薬剤性間質性肺炎が出現したため化学療法開始後7カ月目に投薬中止し,胃全摘術を施行した.術後病理診断にて組織学的効果判定はGrade 1b,漿膜面への腫瘍の露出はみられなかった.現在術後化学療法は行わずに経過観察中である.