日本外科系連合学会誌
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症例報告
閉塞をきたした回腸びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の1例
太田 勝也池永 雅一上田 正射津田 雄二郎中島 慎介足立 真一遠藤 俊治山田 晃正
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2017 年 42 巻 5 号 p. 795-801

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抄録

症例は76歳男性.201X年1月に餅の摂取3日後に下腹部腹痛が出現した.徐々に増強し,救急搬送された.腹部単純CT検査で回腸遠位部から小腸全体が腫大し,食餌性腸閉塞を疑った.イレウス管による腸管減圧を行った.挿入5日後,イレウス管から小腸造影検査を行うと回腸に長径20cm大の腫瘍性病変を認めた.腹部単純MRI検査で病変は,T1,T2強調像で低信号,拡散強調像で高信号を示した.回腸原発悪性リンパ腫による腸閉塞と診断し,緊急手術を行った.開腹すると回腸末端から20cmの位置に表面平滑な白色の腫瘍を認め,小腸部分切除を行った.病理組織学的には,腫瘍により粘膜が欠損し内腔を閉塞させ,回腸の腸管壁全層にわたり大型の核を有する腫瘍性細胞がびまん性に浸潤性増殖していた.CD20陽性,CD3陰性を示し,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した.術後9カ月現在,化学療法は行わず経過観察中である.今回,腸閉塞症状で発症した回腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.

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© 2017 日本外科系連合学会
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