2017 年 42 巻 6 号 p. 1072-1075
患者は90歳の独居女性.認知症があり食道裂孔ヘルニアの既往は不明であった.昼食後に嘔吐した後から腹痛が出現し,訪問看護師により救急要請があり当院に救急搬送された.腹部造影CTにて縦隔内に脱出した胃を認め胃壁の欠損と縦隔内気腫を認めた.明らかな胸腔内への穿孔はなかったため,緊急開腹術を行った.縦隔内に陥入した胃を腹腔側へもどすと胃体上部前壁には2.5×1.5cmの穿孔部を認めた.食道裂孔は3横指程度開大していた,胃底部を遊離し穿孔部を縫合閉鎖した後,Nissen法1)に準じ食道裂孔ヘルニアを修復した.術後経過はおおむね良好でリハビリ目的に術後26病日に転院となった.