2017 年 42 巻 6 号 p. 937-945
症例は66歳女性.C型慢性肝炎,慢性関節リウマチ(プレドニゾロン,セレコキシブを4年間内服),糖尿病にて当院内科通院中にAFPの上昇を認めた.精査にて重複癌(肝S2の肝細胞癌,胃体下部の胃癌)と診断した.腹腔鏡下肝外側区切除および腹腔鏡下幽門側胃切除,R-Y再建術を施行した.術後19日目に残胃潰瘍穿孔を発症し,同日緊急手術にて縫合閉鎖を施行した.再手術後9日目にY脚吻合部出血を認め,上部消化管内視鏡下にクリッピングを施行した.その翌日,Y脚吻合部の空腸盲端閉鎖部から出血し,再度内視鏡的止血術を施行した.出血部位のステープルラインには粘膜修復がみられなかった.
長期間のステロイド,NSAIDs内服により消化性潰瘍の発生リスクが高まり残胃潰瘍穿孔,Y脚吻合部の複数回出血が続発した可能性があると考えられた.