2018 年 43 巻 5 号 p. 794-799
【目的】膀胱タンポナーデもしくは多量の凝血が膀胱内にある高齢者の肉眼的血尿では出血性膀胱炎の頻度が高いが,その際に膀胱腫瘍との鑑別にパワードプラ超音波検査で血流の有無をみることが有用か否かを明らかにすることを目的とした.
方法】肉眼的血尿があり,膀胱超音波検査で膀胱腫瘍も否定できない膀胱内占拠性病変がある患者21名(年齢51~97歳,平均年齢79.0歳,女性11名,男性10名)を対象としパワードプラ超音波検査を施行した.
【結果】膀胱内占拠性病変に対するパワードプラ超音波検査を施行した21例のうち血流を認めなかったのは出血性膀胱炎の19例および腎癌の1例で,膀胱癌の1例では周囲組織にはない血流シグナルを認めた.以上より全例において膀胱腫瘍の有無をパワードプラで鑑別できた.また出血性膀胱炎は90.5%と高頻度であった.
【結語】膀胱タンポナーデもしくは多量の凝血が膀胱内にある高齢者の肉眼的血尿では膀胱腫瘍を念頭に入れなければならないが,頻度的には出血性膀胱炎がほとんどであった.また症例が21例と少ないためさらに症例を増やしての検討が必要だが,今回の出血性膀胱炎では全例で膀胱内占拠性病変に対するパワードプラが陰性で膀胱腫瘍との鑑別に有用と考えられた.