2019 年 44 巻 1 号 p. 8-12
目的:胆囊結石の胆囊管や胆囊頸部への嵌頓は急性胆囊炎の重要な発症要因であるが,胆囊管結石と胆囊頸部結石症例の腹腔鏡下手術における成績を比較した報告はなく自施設例で検証した.
方法:2012年4月から2018年3月までに,発症から7日以内に腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した急性胆囊炎36例を対象とし,術前のCT/MRI検査で胆囊管結石を認めた7例(D群)と胆囊頸部結石を認めた20例(N群)を比較した.検討項目は,背景因子,術前検査結果,手術時間,出血量,胆囊床の粘膜遺残症例数,術中胆道造影施行数,術後在院日数,術後合併症とした.
結果:粘膜遺残はD群で3例(43%),N群で1例(5%)と有意差を認めた.D群では術中胆道造影困難例が多く,術後総胆管結石性胆管炎を2例認めた.両群で高難度症例数に大きな差はなかった.
結語:D群では胆囊床部に壁を残す術式となる可能性や総胆管結石遺残のリスクを考慮して手術に臨む必要がある.