日本外科系連合学会誌
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症例報告
網囊内血腫として出現し診断に苦慮した出血性膵仮性囊胞の1例
貝羽 義浩中村 崇宣
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キーワード: 膵仮性囊胞, 出血, 診断
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2021 年 46 巻 5 号 p. 613-617

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抄録

症例は,73歳,男性.約2カ月前から腹部膨満感,食思不振を伴うようになり近医の腹部エコー検査で腹水を認め,当院紹介となった.初診時腹部CTでは膵囊胞は認めず,多量の腹水と胃壁の不正な肥厚を認め,精査目的に入院とした.腹腔穿刺では血性腹水を認め,腹水アミラーゼの高値を認めた.入院後から腹痛が出現し,入院9日目のCTで胃大彎側の網囊内に径6cmの血腫が出現したが,膵との連続性は認めなかった.12日目には貧血が進行し輸血を施行した.20日目のCTで血腫は12cmと増大し,脾動脈には仮性動脈瘤を認めたため,出血性膵仮性囊胞を疑い,開腹手術で囊胞壁の可及的切除と膵体尾部切除,脾摘術を施行した.術後経過は良好で第14病日に退院した.当院初診時には存在せず入院後に網囊内血腫として出現し,画像診断で膵との関連性を見いだせず診断に苦慮した出血性膵仮性囊胞の症例を経験したので報告する.

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© 2021 日本外科系連合学会
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