日本外科系連合学会誌
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症例報告
乳房皮膚の面皰母斑に起因する小児乳腺膿瘍の1例
湯村 知佳森 美樹鈴木 瞳池部 大
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キーワード: 面皰母斑, 小児, 乳腺膿瘍
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2022 年 47 巻 6 号 p. 703-708

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抄録

症例は11歳女児.1歳時に乳腺炎の既往あり.今回,右乳房の乳腺炎症状にて近医乳腺クリニック受診.膿瘍穿刺2回と抗菌薬投薬を行うも症状悪化したため当科紹介となった.右乳房全体の発赤と緊満感と強い自発痛を認め,USでは右乳房上半分を占める広範な膿瘍とその内部に2cm大の腫瘤様低エコーを認めた.同日,全身麻酔下に緊急膿瘍ドレナージ術を行った.右傍乳輪に約4cm切開を加えると,膿汁とともに灰白色の腫瘤が排出された.皮膚所見では,右乳房中央に生下時より存在する母斑を認めた.その母斑は約2mmの黒褐色小母斑が多数(100〜120個)集簇し,各々は面皰を形成しており,面皰母斑と診断した.膿瘍腔より排出された腫瘤の病理診断は,epidermal cyst様の角化壊死物であった.面皰母斑由来の角化物によって重症化したと考えられる小児乳腺膿瘍の1例を報告する.

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