日本外科系連合学会誌
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症例報告
術後10年目に粘膜下腫瘍の形態を呈し盲腸転移をした肝細胞癌の1例
北條 由実子大谷 聡小林 大悟田中 健太山村 和生佐賀 信介安藤 修久
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2022 年 47 巻 6 号 p. 750-755

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抄録

症例は83歳男性,10年前に肝細胞癌に対し右葉切除術,横隔膜合併切除術が施行された.4年前に右肺の結節影を指摘されCTガイド下肺生検で肝細胞癌の肺転移と診断され放射線治療が施行された.2年前に便潜血反応陽性となり下部消化管内視鏡検査が行われ,盲腸に粘膜下腫瘍が見つかり経過観察されていた.今回,下血を主訴に当院救急外来へ搬送され,緊急で下部消化管内視鏡検査を施行したところ盲腸粘膜下腫瘍からの出血が疑われた.出血コントロール目的に開腹回盲部切除術D3郭清施行,切除標本の病理組織検査から肝細胞癌盲腸転移と診断した.術後8カ月生存した.肝細胞癌の消化管への転移は稀であり文献的考察をあわせ報告する.

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© 2022 日本外科系連合学会
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