2024 年 49 巻 1 号 p. 16-21
症例は76歳の男性で検診の血液検査で肝機能障害,腹部超音波検査で肝内胆管の拡張を指摘され,前医の消化器内科を受診した.腹部造影CT,およびMRCPを行ったところ肝門部領域胆管癌が疑われ,当院消化器内科へ紹介となった.病理学的に悪性所見は得られなかったものの画像所見からcT2N0M0 cStage Ⅱの肝門部領域胆管癌(Bismuth Ⅲa)と診断し,右門脈塞栓後に拡大右葉切除術,胆道再建術を施行した.術後6日目にドレーンより血性の排液を認め,血圧が50台まで低下し,ショック状態となった.輸血と腹部大動脈をバルーンカテーテルで閉塞し,状態を安定させたところで腹部造影CTを施行したところ胃十二指腸動脈の近傍に動脈瘤を認めた.IVRによる治療を行う方針とし,後上膵十二指腸動脈(PSPDA)の末梢に破裂動脈瘤を確認したため,コイルによる塞栓を行った.その後状態は安定していたが,その11日目のフォローアップのCTでコイル塞栓部の近傍に未破裂動脈瘤がみられた.前回の動脈瘤とは別の位置であったがこちらもPSPDAの末梢であり,同様にコイル塞栓を行い,瘤の消失を確認した.
その後,肺炎や胸水貯留を認めたが,抗菌薬の投与と胸水ドレナージにより改善し,術後52日目に自宅退院となった.今回われわれは,肝門部領域胆管癌術後に2度の動脈瘤に対するIVR治療を施行し救命しえた1例を経験した.膵後面のリンパ節郭清にはエネルギーデバイスによる熱損傷に留意することが肝要と思われた.