2024 年 49 巻 5 号 p. 423-429
【目的】当院での大腸癌手術において,ICG蛍光法導入後に縫合不全率が低下したか,また低位前方切除術(LAR)におけるcovering stoma(CS)造設率は変化したかについて検討する.【方法】2020年5月から2023年7月までの結腸・直腸癌手術症例から,緊急手術や吻合再建を伴わない手術を除外した212例を対象に,ICG蛍光法導入以前の112例をno-ICG群,導入後の100例をICG群とした.さらにLAR症例を抽出しnoICG-LAR群20例,ICG-LAR群13例として後ろ向きコホート研究を行った.
【結果】縫合不全率はno-ICG群で2例(1.7%),ICG群で0例(0%)と有意差は示されなかった.ICG蛍光法確認後に切離線の変更を行った症例は9例(4.25%)認めた.LARにおけるCS率はnoICG-LAR群で60%,ICG-LAR群で15%とICG-LAR群で有意に低率であった.【結語】縫合不全率に有意差は認めなかったが,切離線変更により縫合不全が未然に防がれた可能性はある.術中に腸管血流を視覚化できることが,CS造設の判断の一助となりうる.