日本外科系連合学会誌
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四肢原発悪性骨腫瘍に対する患肢温存手術
木下 厳太郎山田 博立石 博臣圓尾 宗司
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1995 年 20 巻 1 号 p. 74-80

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抄録

近年, 整形外科領域において患肢温存手術が広く行われている。当科で加療した四肢原発性悪性骨腫瘍38例中, 切・離断術が行われた18例と患肢温存手術が行われた12例の患肢機能を, 罹患部位別に比較検討した。調査項目, 精神的満足度を加味した患肢機能および, 局所再発率, 5年生存率を指標とした根治性である。なお, 患肢温存例の多くに系統的化学療法が施行されていた。大腿骨罹患例では, 人工骨・関節置換術が優れていた。脛骨罹患例で膝関節固定術は優れていたが, 人工骨関節手術は機能的に劣っていた。しかし, 精神的満足度を加味すると切・離断術が劣っていた。上肢例では患肢温存手術が優れていた。局所再発や5年生存率を指標とした根治性は患肢温存例で勝っていたが, これは, 術式によるものではなく, 化学療法の効果であると思われた。 系統的化学療法を併用した患肢温存手術は有用な術式であると結論した。

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