日本外科系連合学会誌
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経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術 (TIPS) 施行例の臨床的検討
成高 義彦小川 健治我妻 美久島川 武勝部 隆男若杉 慎司野村 芳樹芳賀 駿介梶原 哲郎岩井 恵理子小野 由子磯部 義憲
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1996 年 21 巻 2 号 p. 182-187

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抄録
新しい門脈圧減圧の手技である経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術 (Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt;TIPS) は, 1988年Richterらの報告以来, 欧米を中心に臨床応用が行われているが, 本邦での施行例はまだ少ない。今回, われわれは従来の硬化療法では吐血を繰り返す難治性食道静脈瘤の2症例, 保存的治療に抵抗する難治性腹水症例7症例に対してTIPSを行い, 全例にステントの留置に成功し, 有意な門脈圧減圧がえられた。臨床的には静脈瘤の縮小, 消失や腹水の著明な減少など優れた結果がえられたが, 致死的な合併症として胆道出血を1例経験した。予後は, 最長1年7カ月をはじめ5例が生存中であり, 累積1年生存率は68.4%であった。本治療法は, 今後の難治性静脈瘤や難治性腹水のきわめて有効な治療手段になりうると考えられるが, その適応は慎重に決定すべきである。
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