日本外科系連合学会誌
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進行食道癌に対する術前化学放射線療法の検討
山中 英治浅井 晃元廣 高之日置 紘士郎
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1997 年 22 巻 1 号 p. 3-7

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抄録

進行食道癌を対象として, 術前化学放射線療法を施行し, 奏効率, 副作用, 栄養状態への影響, 術後合併症, 予後などについて臨床的に検討した。1993~1994年入院のA2またはN2以上の食道癌を無作為に2群に分け, 化学放射線療法施行群9例と対照群9例で比較した。化学放射線療法施行群では対照群に比して蛋白栄養指標, 白血球数, リンパ球数の低下が著明であり, 術後合併症の頻度も高かった。一方1993~1996年3月入院の進行食道癌30例の化学放射線療法の術前画像診断上の奏効率は76.7%であった。副作用はGrade2以上の白血球減少を63%に, 食欲不振を43%に認めた。また化学放射線療法施行症例で切除例20例と非切除例10例の予後を比較すると, 非切除症例は全例1年以内に死亡し, 切除例より予後不良であった。

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