日本外科系連合学会誌
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22 巻, 1 号
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  • 麻酔科の立場から
    菊田 好則, 岡田 和夫
    1997 年 22 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    複数科が協同で手術を行う場合, 麻酔管理上いくつかの問題点がある。第一は麻酔時間の延長に関係して体温の低下, 褥瘡・末梢神経障害, さらに呼吸・循環・代謝系の合併症を起こすことで, 第二は手術部位が広範になることに伴い, 出血量が増加することである。現在, 多科協同手術の全手術件数に対する比率は1%前後であるが, 今後, 適応症例は増加する傾向にあると思われる。この治療法を生かすために上記問題点に対する対策を講じ, 関連各科の連携のもとに実施されることが大切である。
  • 山中 英治, 浅井 晃, 元廣 高之, 日置 紘士郎
    1997 年 22 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    進行食道癌を対象として, 術前化学放射線療法を施行し, 奏効率, 副作用, 栄養状態への影響, 術後合併症, 予後などについて臨床的に検討した。1993~1994年入院のA2またはN2以上の食道癌を無作為に2群に分け, 化学放射線療法施行群9例と対照群9例で比較した。化学放射線療法施行群では対照群に比して蛋白栄養指標, 白血球数, リンパ球数の低下が著明であり, 術後合併症の頻度も高かった。一方1993~1996年3月入院の進行食道癌30例の化学放射線療法の術前画像診断上の奏効率は76.7%であった。副作用はGrade2以上の白血球減少を63%に, 食欲不振を43%に認めた。また化学放射線療法施行症例で切除例20例と非切除例10例の予後を比較すると, 非切除症例は全例1年以内に死亡し, 切除例より予後不良であった。
  • 荒井 邦佳, 北村 正次, 岩崎 善毅
    1997 年 22 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    同時性血行転移108例と, 根治度Aおよび根治度Bの胃癌切除後の異時性血行転移 (再発) 125例を対象とし, 転移形式の特徴と治療法別の成績をretrospectiveに検討し, 治療法の選択について考察した。同時性転移では, 106例 (98%) が肝転移を有しており, 血行性転移以外の非治癒困子の合併が65%にみられた。異時性転移は, 肝>骨>肺>脳>皮膚の頻度順で多臓器にわたり発症し, 血行性以外の再発形式は44例 (35%) に合併した。治療法別の成績から, 同時性, 異時性に関わらず肝転移は, 1) H1, H2であれば切除+肝動注療法, 2) H3では肝動注療法, が第一選択と考えられた。また, 肺転移や脳転移でも切除例での予後が良好であり, 可能な限り切除を心がけるべきだが, 骨転移は切除の対象となる症例が少なく, 現段階では化学療法が適切と考えられた。
  • 富家 隆樹, 冲永 功太, 横畠 徳行, 福島 亮治, 富岡 峰敏, 若栗 直子, 白石 賢子, 矢後 岳志
    1997 年 22 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    [目的] 胃十二指腸潰瘍穿孔に対して, 保存的治療可能な条件を知るために, 保存的治療有効群と無効群について検討した。 [対象・保方] 1987年から1995年までの9年間に胃・十二指腸潰瘍穿孔で入院した症例65例中, 16例に保存的治療を選択した。入院時に, (1) 全身状態が安定している, (2) 腹膜刺激症状が軽度で限局した状態である, (3) 超音波上腹水の貯留を認めないか, 少量の症例に対し, 保存的治療を選択した。 [結果] 保存的治療16例中14例は軽快退院したが, 十二指腸潰瘍穿孔の2例 (12.5%) は保存的治療によっても腹膜刺激症状が持続し, 腹水の増加がみられたため, 手術を施行した。保存的治療有効群と無効群との間には入院時体温, 白血球数, CRPに有意な差は認められなかったが, 保存的治療無効例では, 発症から治療開始までの時間が長かった。
  • 北村 正次, 荒井 邦佳, 岩崎 善毅
    1997 年 22 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術中洗浄細胞診618例の実態から腹膜播種予備群を明かにし, CDDPあるいはMMCの腹腔内化学療法の有用性について検討した。P0・細胞診陽性57例の50%生存期間は12カ月であり, P (+) の9.6カ月に比較して軽度良好であったが, se以深の細胞診陰性の50カ月に比較すると有意に不良であった (p<0.01) 。深達度と細胞診との関係ではse以深では38%の陽性率であった。P0症例における漿膜面露出面積と細胞診陽性との関係をみると16cm2以上では32%ときわめて高率であった。CDD・MMCのIP治療例のうち, 細胞診陰性化例の50%生存期間が14カ月に対して, 非陰性化例は6カ月と短期間であった。CDDP単独IP投与した6例の予後は経過期間が短く結論的なことは言えない。今後, 腹膜播種転移予防のためにはP0・細胞診陽性例および漿膜面露出面積16cm2以上の例がIP投与の対象となろうが, 反復する腹腔内化学療法を施行すれば, ある程度の効果が期待できると考えられる。
  • 円谷 彰, 小野寺 誠吾, 利野 靖, 奥川 保, 小林 理, 西連寺 意勲, 本橋 久彦
    1997 年 22 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃癌治癒切除後で1992年より1995年に再発をきたした症例105例を対象に腹膜再発の診断と治療上の問題点を検討した。腹膜再発は同時期の再発例105例中42例と40%を占め, 一方肝再発が24例, リンパ節再発が18例, 局所再発が7例であった。術後健存期間は583日 (median) と比較的長かった。初回手術時の主病巣の深達度はt3以上が8割を占め, 肝再発の過半数がt2以下であるのとは対照的であった。腹膜再発時には腹痛等の症状を有する例が37例 (88%) と多く, 他の再発形式に比較して開腹手術による確定診断が18例と圧倒的に多かった。再手術後の生存期間は161±53日で良好とはいえなかった。腹腔鏡による再発診断は3例に行われたが, 播種の有無と程度の確認が容易で, その後の方針決定に有用であった。再発後の化学療法としては, FLPやMMCを加味したregimenが有効である可能性が示唆された。
  • 冨田 利夫, 松本 整, 六角 丘, 宇賀神 一名, 根本 猛彦, 小暮 洋暉
    1997 年 22 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍穿孔に対する治療法を自験例を対象に検討した。症例数は71例で, 胃潰瘍穿孔19例, 十二指腸潰瘍穿孔50例, 吻合部潰瘍穿孔2例であった。治療法は単純閉鎖術37例, 広範囲胃切除術28例, 保存的治療6例で, 死亡は単純閉鎖術5例, 広範囲胃切除術2例の7例であった。このうち広範囲胃切除術の2例と単純閉鎖術の3例は術前よりのショック症状より離脱できず死亡したが, 侵襲の少ない単純閉鎖術を選択していれば広範囲胃切除術の2例は救命できた可能性が示唆された。単純閉鎖術後の潰瘍再発は10.8%に, 潰瘍治療遷延は8.1%に, 広範囲胃切除術後の吻合部潰瘍は12%に認められた。手術時間は単純閉鎖術が広範囲胃切除術に比べ有意に短く, 手術侵襲の軽減が得られていた。胃十二指腸潰瘍の治療法の変遷に伴い, 難治性胃潰瘍の治療成績も改善し, 穿孔部を閉鎖する単純閉鎖術の有用性は, 術後に小胃症状等を来す広範囲胃切除術に比べ高いと思われる。
  • 田中屋 宏爾, 小長 英二, 竹内 仁司
    1997 年 22 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    遺伝性非ポリポーシス大腸癌症例 (H群) 24例と第1近親者に大腸癌の家族歴を認めないsporadic症例 (S群) 443例を対象として二次癌を中心に比較検討した。大腸多発癌の頻度はH群37.5%, S群9.5%で, H群に有意に高く, 異時多発癌の発現平均間隔は, H群9.8年, S群6.5年で, H群が長い傾向を示した。大腸多発癌が右側大腸に存在する割合はH群41.7%, S群24.0%で, H群に多い傾向を示し, 異時多発癌の第1癌に限ると有意差を認めた。他臓器重複癌の頻度は, H群29.2%, S群8.6%で, H群に有意に高く, H群では大腸先行例が多かった。重複癌の発生臓器は, H群では乳腺・子宮・卵巣に多かった。遺伝性非ポリポーシス大腸癌症例ではこれらの特徴をふまえ, 個々の家系の発癌傾向に応じた治療やサーベイランスを行うことが重要と考えられた。
  • 緒方 裕, 片山 達生, 大北 亮, 平城 守, 原田 嘉和, 犬塚 清久, 尾田 仁, 小西 治郎, 白水 和雄
    1997 年 22 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝微小転移巣の病態予測を原発巣および転移巣の特性から試み, 治療への応用について検討した。肝以外に非治癒因子のないH1とH2の129例を対象とし, 生存率, 再発状況, 臨床病理学的因子およびMMP-9, SLex, SLea, VEGFなど転移関連因子の発現を評価した。異時性肝転移切除例は非切除例に比べ良好な予後を示したが, 同時性肝転移では切除後早期に残肝を主体に再発死亡する症例が多く, 非切除例との推計学的差異は認められなかった。このような早期再発死亡例の特徴は原発巣が中低分化型, 1y≧2, v≧2, n≧2であり, 中低分化型, 1y≧2例では残肝再発が多い傾向を認めた。また, 原発巣におけるMMP-9, SLexの発現例は有意に残肝再発が多くみられた。以上より, 同時性肝転移切除例では, 原発巣が中低分化型, 1y≧2またはMMP-9且つSLex発現例では肝微小転移巣数は多く, 増殖速度は早いことが予測され, 肝動注など微小転移巣に対する積極的な補助療法が必要である。さらに, n≧2例では肝外再発を考慮した強力な全身化学療法の必要性が示唆された。
  • 權 雅憲, 河 相吉, 上辻 章二, 上山 泰男
    1997 年 22 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞膜表面に存在するアシアロ糖蛋白受容体を特異的に認識する99mTc-GSAを用いて肝切除術前の肝予備能を検討した。肝癌90例を対象とした。手術術式は肝亜区域切除55例, 肝1区域切除19例, 肝2区域切除13例, 肝3区域切除3例であった。肝予備能の評価として術前にGSA検査による肝受容体量 (GSA-Rmax) とICG15分停滞率 (ICGR15), さらに各種肝機能検査を行った。GSA-RmaxはICGR15と有意な相関関係を認めた。GOT, ALP, ZTT, A/G ratio, PT, TFはGSA-Rmax値とのみ有意な相関を認めた。GSA-RmaxとICGR15との乖離は15例にみられた。肝切除標本を用いた検討では, GSA-Rmaxは組織学的肝障害度と有意な相関を認めたが, ICGR15とは相関は認められなかった。術前のGSA-Rmax値が0.35mg/min以下の症例に対する2区域以上の肝切除は術後肝不全を来す危険性が高いと考えられた。
  • 大浜 用克, 新開 真人, 藤田 省吾, 西 寿冶, 山本 弘, 武 浩志, 鳥飼 勝行, 佐藤 明男, 藤原 孝憲, 相田 典子, 武宮 ...
    1997 年 22 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小児病院と成人病院が協力し, さらに多科共同手術の利点を生かして親子間の生体部分肝移植が小児病院で安全に施行されている。ドナー手術を成人病院が担当し, 準備できた肝グラフトを小児病院へ搬送して移植するシステムであるが, 外科医同志の診療援助のみならず肝移植を全面的にバックアップしてくれる多科診療協力も包括医療が要求される小児肝移植では必須である。多科共同手術を成功させる鍵は外科医同志の意志の疎通が十分良いパートナーの組み合わせであることと, よりよい医療を提供することを常に目指している医療従事者達の施設である必要がある。
  • 山崎 達雄
    1997 年 22 巻 1 号 p. 54-64
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    2断層像を同時に表示することの可能なバイプレーン経食道超音波法および経皮経肝門脈造影法による門脈圧亢進症における上行性側副血行路の描出能力を比較検討した。対象は, 1990年9月から1995年2月までの期間にバイプレーン経食道超音波法および経皮経肝門造影法の両方で上行性側副血行路を評価できた門脈圧亢進症症例12例である。バイプレーン経食道超音波法に使用した超音波検査装置はアロカ社製SSD870システムで, 本装置には血流速度の半定量的分析および血流の波形分析が可能である高速フーリエ変換機能が内蔵されている。食道静脈瘤の描出はバイプレーン経食道超音波法では12例中12例 (100%), 経皮経肝門脈造影法では12例中10例 (83.3%) であった。食道静脈瘤の供血路の存在が確認されたのはバイプレーン経食道超音波法では12例中8例 (66.7%), 経皮経肝門脈造影法では12例中10例 (83.3%) であり, 両者に統計的な有意差は認められなかった。食道静脈瘤の流血路の存在が確認されたのはバイプレーン経食道超音波法では12例中11例 (91.7%), 経皮経肝門脈造影法では12例中10例 (83.3%) で両者に統計的な有意差は認められなかった。以上よりバイプレーン経食道超音波法は, 侵襲的な経皮経肝門脈造影法と比較して, 食道静脈瘤, 食道静脈瘤の供血路および食道静脈瘤の流血路の描出能力において, 一部に制限があるもののほぼ同等の描出能力があることが示唆された。
  • 高橋 悟, 本間 之夫, 蓑和田 滋, 河辺 香月, 阿曽 佳郎
    1997 年 22 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    前立腺肥大症に対し, 経尿道的超音波ガイド下レーザー前立腺切除術 (TULIP) を行い術後4年間の治療成績を検討した。硬膜外麻酔下に米国イントラソニックス社製TULIPシステムを用いて40WのNd : YAGレーザーをリアルタイムの経尿道的超音波監視下に前立腺に照射した。1992年1月から7月の間に30症例 (平均73.9歳) に行い, 平均推定出血量は10.2mlで入院日数は全例5日であった。治療効果パラメーターの変化 (術前―術後3カ月-1年) は, 平均自覚症状スコアは22.2-7.7-6.2と減少し, 最大尿流率は7.9ml/秒-14.5ml/秒-14.7ml/秒と増加し, 残尿量は72ml-10ml-16ml, 推定前立腺重量は39.7g-26.9g-32.2gであった。副作用は2例に精巣上体炎を認めたが, 抗菌剤内服で軽快した。術後4年間経過観察可能であった26例のうち, 18例 (69%) は平均自覚症状スコア8.4と良好で, 何ら追加治療を要さなかった。以上より, 本治療法は前立腺肥大症に対する有効かつ安全な治療法であり, 約70%の症例でその効果は術後4年以上持続された。今後適切なレーザー照射量を設定することにより, さらに長期成績が向上する可能性が示唆された。
  • 四條 裕正
    1997 年 22 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    手術侵襲によって末梢血好中球が増加することは常に経験することである。その意義を知るために, 手術侵襲の末梢血好中球機能におよぼす影響を実験的に検討した。ラットに開腹手術侵襲を加え, 周術期の好中球機能を測定した。その結果, 術直後より末梢血白血球, 特に好中球数が増加し, また好中球の遊走能, 貪食能, 活性酸素産生能が充進していた。また好中球の接着分子Mac-1は有意に高値, L-selectinは有意に低値を示した。血中IL-8およびTNF一α濃度は, 術後8~48時間で最大となり, その後減少に傾くものの168時間目まで術前値に比べ有意に高値を示した。以上より, 手術侵襲は末梢血中にTNF-α, IL-8を誘導, 好中球を活性化し, 遊走能, 貪食能を高め, 血管内皮への接着分子を発現させると考えられた。したがって, 手術侵襲による好中球の増加は生体防御上, 有用であると思われた。
  • 北林 一男, 佐原 博之, 秋山 高儀, 冨田 冨士夫, 斉藤 人志, 小坂 健夫, 喜多 一郎, 高島 茂樹
    1997 年 22 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去12年間に経験した重症外傷性肝損傷手術症例を死亡群5例 (II型1例, IIIa型1例, IIIb型3例) と生存群7例 (IIIa型5例, IIIb型2例) に分類して比較検討し, 予後の指標となる因子を検索した。患者の年齢, 性差, 受傷原因, 来院経緯および手術までの時間に両群間で差はなかった。合併損傷臓器は死亡群で多彩かつ多かった。術前ショックは全症例に認めた。手術術式に両群間で差はなかった。術前検査成績では, 貧血の程度に差はなかったが, 血中トランスアミナーゼ値は死亡群で有意に高値であった。開腹時の腹腔内出血量は両群間で差はなかったが, 術中出血量は死亡群で有意に高値であった。以上より, 術前の貧血の程度よりも血中トランスアミナーゼ値のほうが予後の指標となり, 開腹後の迅速な止血操作による出血のコントロールが救命率向上のために重要であることが示唆された。
  • 小坂 正明, 上石 弘
    1997 年 22 巻 1 号 p. 82-84
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    3次元CTは顔面骨骨折の診断に不可欠となってきている。しかし眼窩床に限っては画像の欠損が多く, 未だ診断に足りる画質とは言い難い。改善策として, われわれはCTの撮影方向に着目し, 新しい撮影角度を実施した結果, 眼窩床3DCT画像が格段に改善され, 眼窩床骨折の診断に新しい展開を遂げつつある。
  • 池田 寿昭, 池田 一美, 松野 直徒, 谷 徹
    1997 年 22 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術後, 敗血症性ショックに多臓器不全を合併した患者9名 (APACHE-IIスコアは27±9, 不全臓器数は3.3±1.0) に対し, エンドトキシン吸着機序を利用したPolymyxin B immobilized fiberを用いた血液吸着療法 (以下PMXと呼ぶ) を行い外科領域での, PMXの効果を検討した。PMXにて救命できたものは6名 (67%) であった。PMXにて, 白血球数血小板数の減少がみられ, 予後不良症例では, 血小板輸血を必要とする症例もあった。エンドスペシーは, 生存群で, PMX開始後90分で最も低値を認め, 終了時でも, コントロール値に比べおよそ30%減少した。死亡例では, PMXによる治療を行なってもエンドスペシーは増加する一方であった。生存例のTNF-αとIL-6は, 両者ともPMX終了直後に減少傾向にあり, 終了24時間後ではhypercytokinemiaの改善を認めた。死亡例はIL-6は低いながらもPMX後も減少はせず増加する傾向にあった。IL-6の絶対値のみで予後を予測することより, 炎症性サイトカインの変動を注意深く観察する必要があると思われる。
  • 田口 伸一, 東野 正幸, 大杉 治司, 徳原 太豪, 綛野 進, 高田 信康, 徳山 彰俊, 竹村 雅至, 藤原 耕三, 船井 隆伸, 加 ...
    1997 年 22 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性。主訴は嚥下困難。内視鏡で胸部中部食道に狭窄を認め, 生検で扁平上皮癌と診断され, 当科入院となった。CTでは大動脈への直接浸潤が疑われた。また上部消化管造影で胃前庭部の早期胃癌が疑われた。術中所見では, 大動脈への直接浸潤が疑われたものの縦隔にリンパ節腫脹を認めなかった。そこで大動脈合併切除により治癒切除が可能であると考え, まず大動脈壁浸潤部をpartial clumpした後, 同部を楔状に切除, 頸部食道瘻をおき胸部食道癌を摘出した。なお大動脈壁の欠損部は人工血管を用いて閉鎖した。ついで第二期手術として胃病変が腺癌との結果を得たため胃全摘術を行い, 左結腸を用いて食道を再建した。術後24ヵ月の現在再発の徴候なく健在である。大動脈浸潤を伴う胸部食道癌に対する大動脈合併切除の適応について若干の考察を加えた。
  • 江本 宏史, 金泉 年郁, 上野 正義, 杉森 志穂, 小林 豊樹, 八木 正躬, 下村 英明
    1997 年 22 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 男性。平成3年3月に胃体上部後壁のボールマン2型胃癌にて胃全摘術, 脾摘術, 2群リンパ節郭清術を施行した。病理組織診断はMucinos Adenocarcinoma, 進行度は (sen2+P0H0) Stage IIIbで, ow-, aw-, INFα, ly-3+, V-1+, であった。平成7年1月頃より右腋窩部に腫瘤を触れるようになり, 5月に腫瘤摘出を行った。腫瘤の大部分はMucinous Adenocarcinomaが浸潤した筋組織からなり, 一部に同細胞が浸潤したリンパ節組織を認めた。触診上, 表在に腫瘤を認めず, 胸腹部CT検査, Gaシンチ検査で原発巣, 転移巣のいずれの病変も指摘できず, 胃癌の右腋窩部転移と診断した。
  • 山内 希美, 田辺 博, 渡辺 進
    1997 年 22 巻 1 号 p. 100-104
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術前に十二指腸カルチノイドと診断され, 術中に内視鏡を補助的に用いることにより局所切除が可能であった1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は55歳, 男性。食欲不振を主訴に来院した。低緊張性十二指腸造影検査にて十二指腸球部小弯に8mm大の表面平滑で境界明瞭な小隆起性病変が認められ, 超音波内視鏡検査にて腫瘍深達度はsmであり, 病変部の生検にてカルチノイドと診断された。上腹部正中小切開にて開腹し, リンパ節の腫脹がないのを確認し, 術中直視型の内視鏡を補助的に使用し病変部を認識した上で楔状に切除した。切除標本にて腫瘍細胞は粘膜下層にとどまっており, 切除断端には腫瘍細胞は認めず, リンパ管侵襲, 脈管侵襲も認めなかった。術後十二指腸狭窄も認めず, 術前と食事摂取状況も同程度となり, 本症例において十二指腸楔状切除はQOLおよび根治性を両立され得たという意味で妥当な治療法であったと考えられた。
  • 池内 浩基, 楠 正人, 山村 武平, 宇都宮 譲二
    1997 年 22 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    瘻孔形成はクローン病の症状としてよく知られた病態であるが, 十二指腸を含む瘻孔形成は極めて稀で, また治療には難渋する。今回著者らは十二指腸結腸瘻を生じた2症例を経験したので報告する。症例1は36歳男性で, 初回手術後, ED療法を行いながら良好に経過していたが, 下腹部痛が頻回に出現するようになったため当科受診。精査にて十二指腸―小腸一上行結腸―S状結腸が一塊となり手拳大の腫瘤を形成し, 互いに内瘻形成が認められた。症例2は30歳女性で, 他院にて右半結腸切除術後内科的に経過観察していたが, 前回手術時の吻合部と思われる部位と十二指腸下行脚の間に瘻孔形成を認め手術目的で当科入院となっている。2症例ともに十二指腸病変は切除後, 一期的に縫合閉鎖し良好な結果をたどった。現在内科的にED療法を行いながら経過観察中である。
  • 竹村 雅至, 堀 哲也, 大杉 治司, 東野 正幸, 木下 博明
    1997 年 22 巻 1 号 p. 110-113
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    回腸穿孔による汎発性腹膜炎をきたして発見されたクローン病の1例を経験したので本邦報告例の集計とともに報告した。症例は24歳・男性。右下腹部痛を主訴に来院した。単純レントゲン写真で腹腔内遊離ガス像は認められなかったが, 腹部CT検査で遊離ガスを認め, 急性虫垂炎の穿孔の診断で開腹した。しかし虫垂には異常はなく, 回腸末端から口側70cmまでの回腸に著明な変形を認め, 50cmの腸間膜反対側に穿孔部を認めた。肉眼的に鉛管状に変形硬化した回腸を切除し, 回腸瘻を造設した。切除回腸には, 腸間膜側に縦走潰瘍を認めた。組織学的には, 全層にわたる炎症細胞の浸潤と肉芽腫を認めた。残存腸管の病変を確かめ, 5週間後に右半結腸切除術・回腸横行結腸吻合術を施行した。クローン病の合併症としては, 膿瘍・瘻孔形成・狭窄などがあるが, 穿孔は比較的まれとされる。しかし, 若年者の汎発性腹膜炎の原因疾患として鑑別すべき重要な疾患のひとつであると思われた。
  • 金子 弘真, 晴山 東禹, 緒方 秀昭, 田村 晃, 脇 和雄, 橋村 千秋, 柴 忠明
    1997 年 22 巻 1 号 p. 114-117
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌と上部胆管癌の異時性胆道系重複癌の1手術例を経験したので報告する。症例は66歳, 男性。主訴は黄疸。平成元年, 胆石症の診断で胆嚢摘出術をうけ, 術後病理にてpat, Gf, pap, int, INFβ, ly0, v0, n0, pm, hinf0, pn0, binf0の胆嚢癌と診断され近医通院していた。平成5年に黄疸出現し, 当科入院。腹部超音波, CT等にて閉塞性黄疸, 胆嚢癌再発が疑われ, 開腹手術を施行した。腫瘤は小指頭大で上部胆管に固有肝動脈から左右肝動脈を巻き込む形で存在していたため, 固有肝動脈合併肝門部切除を施行し, 肝管空腸吻合術と右肝動脈胃十二指腸動脈端々吻合による右肝動脈再建術を行った。病理組織学的所見は胆道癌取扱い規約に準じ記載するとpat, Bsm, tub1, int, INFϒ, ss, vs2 (Aph), ly1, v0, pn3, hinfO, panc0, hw0, dw0, ew2であり, 胆嚢癌の組織像と異なることから, 本症例の病変を胆嚢・上部胆管異時性重複癌と診断した。
  • 梅田 隆
    1997 年 22 巻 1 号 p. 118
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 藤岡 知昭
    1997 年 22 巻 1 号 p. 119
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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