頸部食道癌とくに頸胸境界部食道癌では占拠部位あるいは深達度により適切な術式を選択することが重要となる。頸部および頸胸境界部食道癌11例を対象に術式の選択および問題点について検討した。Ce 1例, CeIu5例に対して食道部分切除, 頸部郭清兼遊離空腸移植を行い, CeIu例に対し上縦隔の郭清のために胸骨縦切開を行った。IuCe 2例およびCe+Im 1例に右開胸による3領域郭清を伴う食道亜全摘兼胃管再建を行った。IuCeの低肺機能患者2例において胸骨縦切開による非開胸食道亜全摘兼胃管再建を施行することにより, 肺合併症を避けることができ, 上縦隔の郭清も可能であった。開胸例3例中2例に術後肺炎を認めたが, 非開胸例8例には術後肺合併症は認められなかった。術後反回神経麻痺をきたしたものが8例(一過性3例)あった。