日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
胃癌の腹膜播種に対する治療戦略
梨本 篤田中 乙雄佐々木 壽英
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 22 巻 2 号 p. 169-178

詳細
抄録

腹膜播種(P)陽性胃癌966例を5年毎の年代別に分け比較検討したところ,P因子別頻度,P3症例の遠隔成績には変化がなかったが,P1,P2症例の1生率,2生率には若干の改善傾向がみられた。次に1994年12月末までの7年間に当科で切除したH0,T3,4胃癌476例の治療効果が検討した。(1)術中洗浄細胞診(cy)陽性116例の5生率は,P0,cy(+)16.9%,P111.5%であり,根治Bは根治Cに比し予後良好であった。(4)CA 125の陽性率は,P0(10.7%),P1(17.9%),P2(20.0%),P3(35.7%)であり,平均値はP0,P1の21.5U/mlに対し,P2,P3は38.3U/mlと高値であった。(6)CA125陰性例の5生率(34.3%)は,CA 125陽性例(16.0%)に比べ良好であった。(7)術中CDDP70~100mg/m2の1回腹腔内投与およびリザーバー留置によるCDDP 25~50mg/bodyの反復投与では延命効果はなかった。【結語】1.根治Bが可能ならば,Douglas窩peritonectomyも含め,できるだけP因子の外科的除去に努めるべきである。2.根治Bが不可能なP3に対しては,無理をせずbest supporive careも考慮すべきである。P因子においても根治Bで予後の向上がみられ,早期治療が奏効するものと思われた。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top