日本外科系連合学会誌
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大腸癌における肝・肺・脳転移切除例の検討
西村 元一伊藤 博佐藤 貴弘伏田 幸夫谷 卓藤村 隆橋本 哲夫清水 康一八木 雅夫米村 豊三輪 晃一宮崎 逸夫長谷川 光弘山下 純宏
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1997 年 22 巻 2 号 p. 186-190

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抄録

肝, 肺を主として血行性転移に対する治療において外科的切除は重要な位置を占めている。今回, 当科で施行した大腸癌肝, 肺および脳転移巣切除例について検討をおこなった。治癒的切除を施行した肝転移症例66例の3年生存率は50.3%, 5年生存率は32.2%であり, 残肝再発は23例35%に認めた。また治癒的切除が可能であった肺転移症例10例の3年および5年生存率は70.0%, 平均生存期間が3.7年であった。脳転移の切除は3例に施行し, 全例QOLの改善を認め一旦退院可能であった。以上より, 大腸癌の肝, 肺転移は治癒的切除が可能であれば積極的な切除により良好な予後が得られ, 外科的切除は非常に有効であると考えられた。また脳転移に対しては根治性が無くても単発性であり切除可能であればQOLの改善の可能性を考え, 手術も考慮すべきと思われた。

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