日本外科系連合学会誌
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肝血管肉腫の1切除例
江本 宏史金廣 裕道中島 祥介堀川 雅人中野 博重堤 雅弘小西 陽一
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1997 年 22 巻 5 号 p. 820-824

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抄録
症例は42歳, 女性で右季肋部痛を主訴に受診した。超音波検査にて肝腫瘍と診断, 諸検査の結果, 肝血管肉腫と診断され平成3年5月に肝右葉切除術を施行。病理学検査にて肝血管肉腫と確診された1症例を報告する。本症例は, 肝血管肉腫の原因としてあげられている, トロトラスト, 塩化ビニール等とは因果関係は認められなかった。肝血管肉腫は, 原発性肝腫瘍のなかでは比較的稀であるが, その予後は一般に不良とされている。本例も外科的切除し得たにもかかわらず, 術後20カ月目にして, 再発による腫瘍死を遂げた。本症例の経験からも, 肝血管肉腫は早期診断と広汎囲な外科的切除が, 予後の向上につながると考えられた。
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