日本外科系連合学会誌
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持続腹膜透析に伴う腹膜炎の検討
八木 雅夫伊藤 博根塚 秀昭佐藤 貴弘谷 卓橋本 哲夫清水 康一三輪 晃一
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1997 年 22 巻 6 号 p. 906-909

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抄録

continous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) 実施時の腹膜炎の診断基準を, 発熱, 腹痛と回収液の白濁または白血球数の増加とすると, 61例 (90回) のカテーテル留置例のうち29例に腹膜炎を経験した。腹膜炎発症例での回収液中の菌検出率は28%で, staph.epidermidisが最も高頻度に認められたことから, 腹膜炎の感染経路として, トンネル外口からの逆行性感染が疑われた。外科的治療を必要とした腹膜炎症例は20例で, 18例はカテーテルの抜去で腹膜炎は軽快したが, 2例では腹腔内のドレナージを必要とした。腹膜炎の治療で抗生剤投与を一週間以上必要とする症例では早期のカテーテルの抜去が必要で, さらに, 腹膜炎の予防ではトンネル感染の防止とカテーテル外口形成術が有用であると考えられた。

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