日本外科系連合学会誌
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肝虚血再灌流障害におけるトロンボモジュリンの有用性
城原 直樹
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1997 年 22 巻 6 号 p. 895-905

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抄録
肝虚血再灌流障害における凝固線溶系の変動とトロンボモジュリンの有用性について, 雑種成犬による脾静脈-左外頸静脈バイパス設置の肝虚血モデルを用いて検討した。トロンボモジュリン非投与群ではthrom-bin-antithrombin complexとplasmin-α2-plasmin inhibitor complexは肝血行遮断時より急激に上昇し凝固線溶系亢進状態であった。ヒアルロン酸は虚血後有意に上昇し, 肝組織血流量は再灌流後有意に低下, AST・ALTも再灌流後より有意に上昇した。トロンボモジュリン投与群ではthrombin-antithrombin complexとplasmin-α2-plasmin inhibitor complexの上昇は有意に抑制され凝固線溶系の亢進も抑制された。またヒアルロン酸の上昇は有意に抑制され, AST・ALT・肝組織血流量も有意に改善された。肝虚血再灌流障害においては凝固亢進状態にあり, ヒト尿由来の可溶性トロンボモジュリン投与はその凝固亢進を抑制し肝保護効果を有することが示唆された。
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