日本外科系連合学会誌
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CO2動注US angiogramにより診断した肝限局性結節性過形成の1例
村國 均柴 忠明小澤 哲郎山口 宗之蛭田 啓之亀田 典章
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1998 年 23 巻 1 号 p. 125-129

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抄録

49歳の女性。検診で尿潜血陽性のためおこなった腹部超音波検査 (US) で肝腫瘍を指摘され精査入院した。US, CT, 肝シンチグラムおよびMRIでは3cm大のhypervascular tumorと診断した。質的診断のため血管造影の際にCO2 microbubblesを肝動脈から動注するCO2動注US angiogramを行った。注入後の早期像でCO2microbubblesは腫瘍の中心から全体に拡散して次第に車軸状を呈し, 肝限局性結節性過形成 (FNH) を疑いインフォームドコンセントの結果, 肝左葉切除をおこなった。術後経過は良好である。肝腫瘍の質的診断には超音波カラードプラー法, Dynamic CTなどがある。CO2動注US angiogramは動脈内に留置したカテーテルからCO2microbubblesを注入する必要があるがリアルタイムに腫瘍内の血行動態を判定可能であり通常の血管造影やUSなどでは診断できない小さな腫瘍や原発性肝癌との鑑別に際して極めて有用な検査法である。

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