日本外科系連合学会誌
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術前診断のつかなかった膵腺扁平上皮癌の1例
森脇 稔笠巻 伸二川瀬 吉彦野口 肇安田 一彦西村 和彦杉谷 通治豊田 忠之岡野 匡雄
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キーワード: 膵腺扁平上皮癌, 膵癌
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1998 年 23 巻 2 号 p. 297-302

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抄録
膵腺扁平上皮癌は, 膵癌のなかでも比較的稀で, その頻度は, 1.6~4.2%までといわれている。今回われわれは, 左腰背部痛にて入院し, 術前診断に苦慮し, 術後の病理組織検査にて判明した, 膵腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する。症例は58歳男性で, 左腰背部痛を主訴に当科入院する。入院後38.0℃以上の発熱が続いたが, 腹部CT検査にて, 膵尾部に内部がlow densityの大きな腫瘤陰影を認め, ERCP検査にても, 主膵管の膵尾部に向かう部分の途絶があり, 腹部血管造影でも, 脾動脈にencasementを認めた。以上より, 内部がabscess様になった膵尾部の膵癌を疑い, 手術を施行した。術後の病理組織検査にて, 稀な膵腺扁平上皮癌と判明した。
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