日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
肝内外胆管の大部分を病変部とする
びまん型原発性硬化性胆管炎の1例
村瀬 茂田中 信一花房 茂樹
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 24 巻 1 号 p. 111-115

詳細
抄録
症例は63歳の男性で, 血清総ビリルビン値は20mg/dlと上昇しているが, 腹部CT, 超音波検査では肝左葉に軽度の肝内胆管の拡張を認めるのみであった。閉塞性黄疸の診断でPTCDを試み, 穿刺により白色胆汁が吸引できるが, 肝内胆管の拡張が不十分のためドレナージチューブの挿入が不成功に終り, 開腹手術を行った。開腹所見で総胆管, 総肝管は壁肥厚, 硬化が著名でpencil likeの表現が適切と思われた。また膵全体が著しく硬化し, 慢性膵炎様であった。内腔のほとんどない総胆管を横切し, そこからチューブを挿入して施行した胆道造影と総胆管壁および肝の生検よりびまん型, 全胆管型の原発性硬化性胆管炎 (primary sclerosing cholangitis : PSC) と診断した。患者はステロイド剤投与により軽快退院した。退院後約5ヵ月後と11ヵ月後に再燃し, ステロイド剤の再投与および増量を必要としたが現在は改善し外来通院中である。
著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top