抄録
当科で手術を施行した3例の肺動静脈瘻を考察を加えて報告する。症例1は33歳の男性で, 発熱で入院。心尖部で心雑音を聴取し, 胸部X線写真で左下肺野に異常陰影を認めた。肺動脈造影で, 左S5の肺動静脈瘻と診断し, 舌区部分切除術を施行した。症例2は41歳の女性で, 右片麻痺のため入院。脳梗塞と診断され, 右背部の血管性雑音と胸部X線写真で右下肺野に異常陰影を指摘された。IV-DSAで右S8の肺動静脈瘻と診断し, 下葉切除術を施行した。症例3は52歳の女性で, 労作時の呼吸困難のため入院。手指にチアノーゼを認め, 右前胸部で血管性雑音を聴取した。Rendu-Osler-Weber病を合併していた。胸部X線写真で右下肺野に異常陰影を認め, IV-DSAやヘリカル3D-CT等で右S4とS8の肺動静脈瘻と診断し, 中下葉切除術を施行した。切除した下葉の肺静脈の異常な拡張, 壁の肥厚を認め, 動静脈瘻の潜在的な存在の可能性が示唆された。