日本外科系連合学会誌
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上腸間膜動脈性十二指腸狭窄症の1手術例
三上 幸夫今村 幹雄山内 英生
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1999 年 24 巻 1 号 p. 81-85

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抄録
上腸間膜動脈性十二指腸狭窄症の1手術例を経験したので報告する。症例は24歳, 女性。主訴は嘔気・嘔吐で, 以前から食後に心窩部膨満感を認めていた。平成8年10月頃, 上記症状が出現した際, 近医で十二指腸狭窄症と診断され, 当科に紹介された。体重は最近の2ヵ月で8kg減少した。術前画像所見 : 腹部単純X線写真;胃泡の増大がみられた。低緊張性十二指腸造影;バリウムは十二指腸水平部から進まず, 口側十二指腸は拡張像を呈した。血管造影;腹部大動脈とSMAとの分岐角度は約10度と狭小であった。上部消化管造影併用CT ; SMAの背側右側に拡張した十二指腸を認めた。手術所見および術式 : 経鼻胃管を通し十二指腸内に注入した空気はSMAを越えなかった。GIA(R)を用い十二指腸水平部と空腸起始部とを側側吻合した。術後経過 : 食事摂取可能となり, 嘔気・嘔吐も消失した。上部消化管造影で吻合部の通過は良好であった。
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