日本外科系連合学会誌
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再入院で手術的に治療した回腸アニサキス症の1例
廣瀬 昌博難波 康男藤原 恒弘
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1999 年 24 巻 1 号 p. 86-89

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抄録
イレウスにて発症し保存的治療にて一旦退院したが, 10日後再発し手術を施行した回腸アニサキス症の1例を報告する。症例は46歳, 男性。主訴は腹痛・嘔吐である。患者は, 頬垂イワシを生食後2時間頃より腹痛および嘔吐出現。近医受診し, アニサキス症が疑われたが, イレウスの診断で当科紹介。保存的治療にて第3病日には排ガス・排便を認め, 経口摂取を開始し, 第12病日退院した。10日後再び腹痛出現し, 当科再入院。腹部所見から手術を施行した。手術所見ではBauhin弁から口側に1mの回腸壁が約15cmに亘って肥厚および発赤と膿苔の付着を認めた。このため, 同部を切除した。切除標本を開くとアニサキスの虫体が回腸粘膜に穿通しており, 回腸アニサキスと診断した。アニサキス症は, 保存的治療を施行するのが原則であるが, それが奏効しない場合, 手術が必要であると思われた。
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