抄録
潰瘍性大腸炎などに対する大腸全摘後の再建術式として, 良好な排便機能を得るために回腸嚢肛門吻合術が普及しているが, 回腸嚢炎の発生等短所の指摘もある。これに変わる再建法として, われわれはileal myectomyを伴った回腸肛門吻合術を施行した。症例は44歳男性で, ステロイド抵抗性の潰瘍性大腸炎であった。第1期手術として結腸亜全摘, S状結腸粘液瘻造設, loop回腸人工肛門造設を施行した。今回第2期手術 (残存大腸切除, ileal myectomyを伴った回腸嚢肛門吻合術) を施行した。 (1) prone jack knife位で直腸粘膜切除を施行した (無筒法) 。 (2) 砕石位で開腹し, S状結腸・上部直腸全層, 下部直腸粘膜を一塊とし切除した。 (3) 回腸断端部より3cm離し, 腸間膜反対側に短冊状 (10cm×1cm) のmyectomyを置き, さらに腸間膜側から90°と270°の腸管壁に短冊状に (3cm×0.5cm) のmyectomyを3ヶ所ずつ置いた後, 回腸嚢肛門吻合術を行った。術後経過良好だった。人工肛門閉鎖 (第3期手術) 後1カ月ごろより, 排便回数はすでに1日5-6回程度と安定していた。