日本外科系連合学会誌
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膀胱癌症例に施行した尿管S状結腸吻合の長期成績
塩路 康信満 純孝西沢 秀治森田 辰男村石 修徳江 章彦
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1999 年 24 巻 5 号 p. 766-772

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抄録

膀胱全摘除術を行った膀胱癌84例中, 尿路変向に尿管S状結腸吻合術を行った15例 (男性13例, 女性2例) を対象として, 尿管S状結腸吻合の長期成績を検討した。吻合方法は刺創吻合7例, 直接吻合6例, 粘膜下吻合2例であった。尿管S状結腸吻合の累積10年有効率は71%, 20年有効率は30%と段階的に減少したが, 癌特異的累積10年生存率は56%, 20年生存率は52%と10年以後横ばいで両者は15年を境に逆転していた。吻合破綻症例は6例で, 全例慢性腎不全を来していた。その原因は逆流によるものが4例, 狭窄によるものが1例, 不明が1例であった。術後15年以上の吻合有効症例は15例中4例で, 観察期間中の合併症は腎盂腎炎2例, 尿管結石1例, S状結腸癌1例であった。近年あまり施行されない術式だが, 晩期合併症を考えた定期的な経過観察が必要である。また吻合18年後に発生したS状結腸癌症例を経験したので, 併せて報告した。

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