日本外科系連合学会誌
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胃切除後の骨代謝障害とその評価 : Microdensitometry (MD) 法およびMD/MS (Multiplescanning X-rayphotodensitometry) 法による骨量測定
加藤 俊二恩田 昌彦松倉 則夫木山 輝郎吉行 俊郎長谷川 博一山下 精彦徳永 昭
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2000 年 25 巻 1 号 p. 36-42

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抄録
胃癌術後の長期生存例で骨粗鬆症様症状の訴えがしばしば見受けられる。これは胃切除後の骨代謝障害に起因する可能性がある。骨代謝障害を評価する目的で簡便なMD (microdensitometry) 法にて胃切症例の骨塩量, 骨皮質幅を測定し, MD/MS (Multiplescanning X-ray photodensitometry) 法によるスコア評価および年齢・性別平均基準値との差を基準値の1標準偏差 (SD) で除した指数 (%SD値) で検討した。MD/MS法にて判定された骨障害の発生は, 胃癌症例, とくにステージIII症例に多く認められたが, 術式との相関は認められなかった。骨塩量 (ΣGS/D) の%GSD値が骨粗鬆症様症状と有意に相関するとともに (<0.01), 胃切除により骨量が有意に減少 (<0.05), さらに術後1年から2年の症例と術後10年以上経過した症例で%GSD値の著明な低値がみられた。一方, 骨皮質幅 (MCI) の%MCI値はむしろ増加しており, 骨塩量の低下を骨皮質幅の増加で代償しているものと考えられた。MD/MS法によるスコア値より, 骨塩量 (ΣGS/D) の%SD指数値は・術後の経時的変化の指標として胃切除後の骨代謝障害評価に有用と考えられた。
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