日本外科系連合学会誌
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狭窄を伴う短食道型食道裂孔ヘルニアに対する新しい外科的治療の試み
橋本 剛内田 雄三野口 剛和田 伸介唐原 和秀松本 克彦
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2000 年 25 巻 4 号 p. 642-646

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抄録
逆流性食道炎のうち, 高度の狭窄を伴い, 食道狭窄が拡張術を行ってもすぐ再発するものは, 外科的切除とくに下部食道の切除術の適応とされてきた。切除後の再建として, 食道・残胃吻合術を行った場合, 吻合部を大轡側でwrappingするなどの逆流防止策を付加しても食道炎が再発することが多く, 自験例でも全例に食道炎の再発を認めた。したがってこのような症例に対しては食道・残胃間空腸間置術が行われるが, 手術手技が煩雑で, やや手術侵襲が大きくなるという欠点がある。今回われわれは, 高度の狭窄を伴う短食道型食道裂孔ヘルニアに対し, 術前狭窄部にステントを挿入し, 左開胸, 経横隔膜的にCollis-Nissen手術を行い, 良好な成績を得た。高齢その他の理由で空腸間置術がためらわれるような症例に対して, 本術式は極めて有用と思われる。教室の食道裂孔ヘルニアに対する外科的治療の成績を示すとともに, 本術式の詳細を報告した。
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