症例は24歳, 女性。心窩部痛を主訴に近医を受診し, US, CTにて膵体部に一部に嚢胞性成分を有する径8cm大の境界明瞭な充実性腫瘍を指摘され, 当科に紹介された。各種画像所見, 臨床所見より膵体部のsolid cystic tumorの診断にて手術を施行した。術中迅速病理検査でもsolid cystic tumorの診断が得られ, さらに, 若年であることを考慮し, 膵内外分泌機能の欠落を最小限に抑える目的で, まず最初に核出術を試みた。しかし, 腫瘍は膵実質に深く入り込んでおり, また, 易出血性であったため, 核出術を断念し, 腫瘍部を含め, 膵切除範囲を最小限にとどめる膵分節切除術を行った。術後経過は順調で, 膵液瘻等の合併症もなく, また, 膵内外分泌機能も正常に保たれていた。膵体部に存在する膵solid cystic tumorに対して, 腫瘍核出術が困難な場合, 膵分節切除術は術後膵機能温存の点において有用な術式であると考えられた。