日本外科系連合学会誌
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胃全摘から噴門側胃切除への手術縮小の意味
質的研究の視点から
長嶋 隆大館 敬一今村 智森田 幹太高橋 克之介金子 英彰伊崎 友利木村 正之竹村 和郎山口 晋
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2001 年 26 巻 4 号 p. 1027-1034

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抄録
上部胃の早期胃癌に対して, 胃全摘に代えて噴門側胃切除を行う術式の縮小は, はたして, 患者のニーズに基づくものであるか否かを検討した。当教室で, 胃全摘および噴切を施行された症例を対象に, 質的研究 (qualitative research) の手法で, 効用分析 (utility analysis1) 2) ) を用いて検討した。従来, 手術後の患者の状態を反映するとされたパラメータ (体重, 食事回数, face-scale) で見ても, また効用分析で見ても, 全摘患者と噴切患者の間に術後状態の差はなく, 全摘を噴切に縮小することが, 必ずしも, 患者の側のニーズに基づいた行為とは考えられなかった。上部胃の早期癌には, 臓器温存の点から噴切が望ましいと思われるが, 患者のQOLの点では必ずしも噴切にこだわる必要はないとわれわれは考える。
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