2001 年 26 巻 5 号 p. 1238-1242
Port-Access systemによる心房中隔欠損閉鎖術15症例の麻酔を経験した。Port-Access低侵襲心臓手術は末梢の大血管からのカテーテル挿入による体外循環下に, 小さな切開創を通して行う心臓手術であり, 術後疼痛が少なく, 美容面で優れ, 早期退院が可能であり, QOLの面で低侵襲と考えられた。しかし, 術中管理に関しては決して低侵襲ではなく, 中枢神経合併症を予防するために, 経食道心エコー, X線透視, 圧測定, 近赤外線酸素モニターなどを用いる必要があった。麻酔管理では, 少量フェンタニル麻酔にプロポフォールや吸入麻酔薬を併用した麻酔を行い, 早期抜管を行った。術中モニターでは経食道心エコーが特に有用で本手術に不可欠であった。また, 本手術は心臓外科医, 麻酔科医, 臨床工学技士, 看護婦の信頼関係と密接な連携が重要と思われた。