日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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26 巻 , 5 号
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  • 渡邊 正志, 中崎 晴弘, 小林 一雄, 平野 敬八郎
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1213-1221
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝癌の治療法として凍結療法は欧米においてはほぼ定着した治療法で, すでに2,000人以上の患者が治療され, その適応, 方法, 合併症, 治療成績など出揃った時期である。肝凍結治療はわれわれの教室において初めて臨床応用した方法で, 1990年代後半までに68症例に施行しており, このうち15例は経皮的肝穿刺法で行っている。うち最も経過観察ができた大腸癌肝転移30例の累積生存率は1年59%, 3年25%, 5年17%であった。凍結療法は他のablation therapyにくらべ破壊力は強いが血管に対して比較的やさしいという特徴があり, 免疫誘導, 抗癌剤濃度の上昇など他の方法より優れた面がある治療法である。肝腫瘍の治療においては, 諸外国より本邦が先んじてきた治療法が多いが, 凍結治療については諸外国の経験, 成績, 工夫などを考慮しながら進めていかなければならないと思われる。
  • 米田 正始
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1223-1226
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 稲田 英一
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1227-1229
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    心臓手術においては, 術前, 術後管理を含め, 外科医, 麻酔科医, 循環器内科医, ナース, コメディカルの強力なチームワークが必要である.術前, 術中, 術後に渡る一貫した管理方針を貫くために, 外科医と麻酔科医の緊密なコミュニケーションは極めて重要である。麻酔科医は患者の術前状態や予定術式について, 心臓外科医や循環器内科医から情報を得, 術中管理のポイントを把握する。人工心肺管理においては, 体温, 血液, 電解質管理などについてのコンセンサスを得ておく。人工心肺からの離脱を含め, 術中血行動態管理を麻酔科医が中心になり行えば, 心臓外科医は術野に集中できる。経食道心エコー (TEE) の果たす役割も見逃せない。術中に麻酔科医が得た多くの情報を, 心臓外科医に的確に伝達し, 術後管理にも役立てるようにすることも重要である。心臓外科医と麻酔科医の信頼関係は, 心臓手術成功のための重要なキーである。
  • 上田 裕一
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1230-1234
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胸部大血管手術のうち, StanfordA型大動脈解離と上行・弓部大動脈瘤に対する人工血管置換手術の手術手技および麻酔管理上の留意点を明らかにするとともに, 心臓血管外科医の側からの麻酔科医への要望の形で提言を試みた。これらの手術では, 大動脈解離あるいは動脈硬化性病変のため, 体外循環に起因する問題が生じる可能性が一般開心術よりも高い。また, 弓部大動脈の置換中の脳保護には超低体温循環停止法と, 中等度~超低体温を併用した選択的脳分離体外循環法があるが, 麻酔医には, 手術方針・術式の理解が要求されるとともに, 手術に採用される補助手段とその問題点を熟知しておく必要がある。緊急手術や不安定な血行動態への対応, 体外循環中の問題や大出血など, 外科医と麻酔科医の協力が不可欠であり, 迅速でなければ成績の向上は望めない。
  • 舘田 武志
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1235-1237
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大血管手術においては手術操作, 合併疾患などにより不安定な血行動態, 低酸素血症に陥りやすい。これらは重要臓器の虚血を起こし, 周術期合併症, 死亡率を上昇させる。従って, 麻酔管理は血行動態の安定化, 低酸素血症の防止, 虚血の早期発見に努めることが重要である。近年, 術中脳保護法や術中モニタリングの進歩, 手術手技の改良により大動脈疾患における手術成績は向上されている。しかし, 緊急手術においては術前評価・管理が不十分なまま手術施行となることが多く, 麻酔管理も困難となり死亡率は高く, 治療成績は不良である。従って, 治療成績を更に向上させるためには心臓血管外科医と麻酔科医の緊密な協調のもとに周術期管理を行うことが必要とされる。聖マリアンナ医科大学病院における過去5年間の急性大動脈解離に対する緊急手術症例の麻酔管理を検討し, 周術期の問題点と対策を提起した。
  • 山田 達也, 石田 陽子, 石川 聡子, 近藤 知子, 四津 良平, 申 範圭, 武田 純三
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1238-1242
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    Port-Access systemによる心房中隔欠損閉鎖術15症例の麻酔を経験した。Port-Access低侵襲心臓手術は末梢の大血管からのカテーテル挿入による体外循環下に, 小さな切開創を通して行う心臓手術であり, 術後疼痛が少なく, 美容面で優れ, 早期退院が可能であり, QOLの面で低侵襲と考えられた。しかし, 術中管理に関しては決して低侵襲ではなく, 中枢神経合併症を予防するために, 経食道心エコー, X線透視, 圧測定, 近赤外線酸素モニターなどを用いる必要があった。麻酔管理では, 少量フェンタニル麻酔にプロポフォールや吸入麻酔薬を併用した麻酔を行い, 早期抜管を行った。術中モニターでは経食道心エコーが特に有用で本手術に不可欠であった。また, 本手術は心臓外科医, 麻酔科医, 臨床工学技士, 看護婦の信頼関係と密接な連携が重要と思われた。
  • 維田 隆夫, 笠原 勝彦, 本田 二郎, 小柳 俊哉, 鎌田 聡, 加瀬川 均, 川瀬 光彦, 高尾 あや子
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1243-1246
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    心臓血管外科における常温体外循環の導入による常温開心術は, 開心術術後管理を容易にし, 術後患者の早期回復に役立つかを検討した。常温開心術症例は, 従来の低体温開心術症例に比較して, 術中の体外循環時間と手術時間が短く, ICU収容後は, 体温の回復は早く, 血圧の変動も小さく, 循環動態は安定していた。呼吸器からの離脱も有意に早く, ICUの滞在期間も短い傾向にあり, 術後出血量も少ない傾向がみられた。したがって, 開心術術後急―生期患者の術後管理はICU収容後から始まるのではなく, 手術室での, 特に麻酔科医を中心とした手術チームによって, 術中からすでに始まっているのであるということを強調したい。これらの効果は一施設の開心術症例数を増加させた一方, ICUでは誰が術後の集中治療を管理統括するべきかという問題が残る。患者に対する最終責任は外科医にあると考えているが, ICUでのこの問題は21世紀に持ち越された課題である。
  • 杉内 登
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1247-1249
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    実際の臨床現場において, 心臓外科医と麻酔科医の間に術後呼吸管理, 循環管理に関して意見の相違が度々見られる。今回は, 聖マリアンナ医科大学病院の心臓外科医と麻酔科医に対して簡単なアンケート調査を行い, 率直にどのような感想, 意見を持っているのかを調査し, 集計した。本院での術後管理は, 心臓外科医が主に循環管理を麻酔科医が呼吸管理を施行し, 連絡取り合って施行している。しかし, 結果としては, 両科ともコミュニケーションの不足を痛感しており, 連絡が十分とは言えない状況と考えられた。また双方ともあまり積極的にコミュニケーションを取ろうとしていない事実も明らかになり, 今後はお互い積極的にコミュニケーションを取ることが必要と考えられた。
  • 小山 薫, 金古 逸美, 豊田 佳隆, 宮尾 秀樹, 川添 太郎, 佐藤 恭介
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1250-1253
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    予定低侵襲冠動脈バイパス術 (MIDCAB, 1枝) の周術期管理について, ニコランジルを用いた循環管理を中心に検討した。麻酔導入はミタゾラム・フェンタニル・ベクロニウムで行い, 分離肺換気用気管内チューブ挿管, 維持はフェンタニル・プロポフォール・低濃度イソフルランで行った。ニコランジルは全症例で麻酔導入後から投与を開始し, 手術終了後も投与を継続した。冠動脈吻合は5分間のischemic preconditioningを1回施行した後に行った。Ischemic preconditioning~冠動脈吻合時 (平均吻合時間22分) において, 血圧低下, 心電図変化, 経食道心エコーでの心筋局所壁異常運動等, 心筋虚血が疑われた症例はなく, 術後経過は良好であった。MIDCABにおける周術期心筋保護としてのニコランジルの有用性が示唆された。
  • 高野 照夫
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1254-1255
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 山下 弘幸, 大島 章, 渡辺 紳, 内野 眞也, 野口 志郎
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1257-1260
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当院は平成11年10月より内視鏡下甲状腺・副甲状腺切除を開始し, 現在まで副甲状腺腫3例 (1例は同時に甲状腺切除施行) と良性甲状腺腫11例を経験した。主切開創を鎖骨下あるいは腋窩に入れるか (頸部外), 顎下に入れるか (頸部) で手術を行っている。頸外部からのアプローチでは片葉切除が必要な際に, 症例によってはベリー靱帯周辺部の処理が困難で反回神経麻痺を危惧しなければならない。後者では, 頸部を屈曲させ創をずらすことにより甲状腺上極およびベリー靱帯部を直視下に処理が可能なので安全に片葉切除ができ, 創部に関しても美容的に満足できる。当院での症例を検討し, アプローチによる手術手技の違いにつき言及し, 顎下部からのアプローチによる甲状腺片葉切除をビデオにて供覧する。
  • 池田 佳史, 高見 博, 佐々木 裕三, 高山 純一, 菅 重尚, 新見 正則
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1261-1264
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    甲状腺・副甲状腺疾患の開放手術は, 広い襟状切開による美容上の問題, 広範囲の皮弁の形成や切開創による嚥下時の皮膚のひきつれや触覚鈍麻, 感覚異常というQOLの問題がある。近年, 内視鏡手術が取り入れられ, 各施設で積極的に行われている。しかし, 内視鏡手術の中でも, アプローチ法の違いによりそれぞれの特徴がある。われわれは, 腋窩アプローチ法 (腋窩より完全な遠隔操作で行う方法 : 頸部, 胸部に傷を残さず, 大きな腫瘍の摘出も容易であるが, 頸部までの剥離面積が広く侵襲がやや大きい。), 前胸部アプローチ法 (前胸部より一部用手的補助を併用する方法 : 操作腔を胸骨舌骨筋の舌層を中心に作製するため広頸筋下層の剥離面積が少なく侵襲が開放手術より小さい。頸部に傷を残さず, 大きな腫瘍の摘出も容易である。), 頸部アプローチ法 (頸部より遠隔操作で行う方法 : 侵襲は最も小さいが, 頸部に傷が残り, 大きな腫瘍の摘出が困難。) の特徴を考慮し症例に応じて, 選択している。今回, 各アプローチ法による内視鏡手術をビデオで供覧し, 各手術方法の美容, QOL, 侵襲の上での利点と欠点, 症例の適応について報告する。
  • 鈴木 和雄
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1265-1268
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    経腹腔到達法および腹膜外到達法による腹腔鏡下副腎摘除術の手術手技について概説した。経腹腔到達法の場合, 体位を側臥位とし, 腹膜を大きく切開して腹腔内臓器を下方 (正中側) に受動し, 大きな視野を得ることがポイントである。すなわち, 右側では肝・結腸間膜を切開し, この切開線を肝右葉に沿って延長し, 肝三角靱帯の一部を切開して肝を正中側に圧排する。左側では, 横隔膜・結腸靱帯を切開した後, 腹膜切開線を脾の外側に沿って胃大弯側が見えるまで延長し, 脾を自重により正中側に受動すれば良好な視野が得られる。腹膜外到達法の場合は, 後腎傍腔をバルンなどで充分拡張した後, 脂肪 (flank pad) を除去し, 円錐外側筋膜および腹膜を正中側に剥離し, 広い操作腔を作成する必要がある。いずれの到達法においても, 副腎の剥離は副腎周囲から開始し, 横隔膜, 腸腰筋, 腹横筋, 腰方形筋を剥離面の指標とする。上副腎血管を処理した後, 副腎を周囲脂肪組織と一塊として遊離し, 最後に副腎静脈を切断する。腹腔鏡下手術に馴れないうちは痩せた症例を選ぶこと, 静脈の走向を念頭にいれた慎重な剥離操作などが要求される。手術が困難と思われたら, 深追いせず, 速やかに開腹手術に移行する姿勢が肝要である。
  • 中川 健, 村井 勝
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1269-1273
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    副腎腫瘍に対するminimally invasive therapyとして, 内視鏡下副腎摘除術が急速に普及し, 標準術式となりつつある。1992年より93症例の副腎腫瘍に対し, 経腹膜前方到達法 (56例) ならびに後腹膜後方到達法 (38例) による内視鏡下副腎摘除術を施行してきた。患者年齢は24歳~71歳 (平均47.2±12.3歳), 男性42例, 女性51例であった。患側は, 右39例, 左53例, 両側1例であった。87手術 (92.7%) で, 内視鏡下副腎摘除術を完遂でき, 手術時間は, 105分~383分 (平均205.0±66.5分) であった。鎮痛剤使用回数は平均1.2回, 経口摂取開始は平均1.6日であった。到達法による手術時間, 回復期間の差を認めなかったことから, 最少外套管数 (計3本) を優先し, 右側は後腹膜後方到達法, 左側は経腹膜前方到達法を現時点での第一選択術式とした。また, 褐色細胞腫に関しては, 血管処理の容易さから, 患側に関わらず, 経腹膜到達法が適当と考えられた。
  • 山形 基夫, 三上 元, 長谷川 哲夫, 笠倉 雄一, 岩井 重富, 高山 忠利
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1274-1279
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    現在本邦で施行されている内視鏡下乳房温存手術は良性腫瘍に対する外側アプローチ法乳輪下アプローチ法, 悪性腫瘍に対して腋窩アプローチ法, 乳輪下アプローチ法が施行されている。乳腺に対する内視鏡下手術は乳癌という疾患の特性上良い適応であり, 手術創の縮小化と位置の移動により手術効果を損なうことなく高い整容性が期待できる。われわれの術式は乳輪下アプローチ法による内視鏡補助下乳腺切除術および剥離バルーンを用いた気嚢下腋窩リンパ節郭清術より構成されている本法は短期的には通常術式と比較して手術効果に差がなく術者の習熟度を補う有用な手段であり, 今後ますます発展する術式であると考えられる。
  • 丹正 勝久, 郡 太郎, 篠原 克彦, 目良 浩一, 白井 邦博, 林 成之
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1280-1286
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    近年, 重症脳疾患患者に対し脳低温療法が多く行われるようになったが, 低体温時の免疫能低下に伴って生じる各種の感染症の併発が同療法の大きな問題点となっている。今回, 脳低温療法を施行した重症脳疾患患者13例に対し, レボフロキサシン, アムフォテリシン, バンコマイシンの抗生剤組み合わせによるselective digestive decontamination (SDD) を行い, 経過中の合併症である各種の感染症および臓器不全発症の予防効果について検討を行った。SDD施行群は, SDD未施行重症脳疾患患者10例の対照群に比し, 呼吸器感染症, 呼吸不全の発症が有意に低かった (P<0.05) 。他の感染症, 臓器不全の合併率については両群間に有意の差は認めなかった。以上より, SDDは呼吸器合併症の予防に効果があるものと考えられるが, 今後, SDDによる多剤耐性菌の出現の可能性を含め, より長期の観察が必要と考えられる。
  • 芹澤 徹, 小野 純一, 井内 俊彦, 大里 克信
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1287-1291
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    多発性転移性脳腫瘍に対するgamma knife (GK) 治療成績を, 従来の集学的治療法と比較した。非小細胞肺癌の10個以下の多発脳転移100例を対象とした。3cm以上の腫瘍は手術, 3cm未満はGK, その後全脳照射を施行せず, 新病巣に対しGKを行った66例 (GK群) と手術・全脳照射をした34例 (全脳照射群) に分類した。両群間で生存・神経死・quality of life (QOL) 維持の累積生存率曲線を算出した。各Survivalの影響因子について, 原発巣の制御, 初診時状態, 病巣数, 病巣の大きさなど8因子を加え, Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。単変量・多変量解析ともに, 生存・神経死・QOL維持いずれにおいても, 全脳照射群はGK群に対し有意に危険度が高い結果であった。非小細胞肺癌の多発性転移性脳腫瘍に対するGK治療では, 生存期間の延長, 神経死の減少, QOL維持が期待できる。
  • 東山 聖彦, 児玉 憲, 上林 孝豊, 横内 秀起, 高見 康二, 黒川 英司
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1292-1299
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当施設において, 1994.12から2000.10までに肺癌に対する治療目的のVATS (video―assisted thoracic surgery) 手術が予定された症例35例を対象に, 適応, 手技, 成績を示し, その問題点と対策を検討した。「対象」症例は, 積極的適応32例, 妥協的適応3例からなり, 年齢は, 37-79歳 (平均59.3歳) 。男性21, 女性14。腫瘍径は5-31mm。術前病期は, cT1NO : 34例, cT2NO : 1例。原発巣の術前高分解能CT (HRCT) にて, ground-glass opacity (GGO) の占める比率を求めた結果, 0% : 9例, 1-50% : 9例, 51-99% : 7例, 100% : 10例であった。術前確診症例は6例で, 術前の主病巣に対するCTマーキング下切除は14例に施行。1998年以降の部分切除時には, 迅速肺切離断端面洗浄細胞診 (SMLC, J Thorac Cardiovasc Surg, 120 : 412, 2000) を行った。術中リンパ節転移陽性時は, 開胸下標準手術に術式変更した。「術式と結果」VATS葉切除は, GGO≦50%で腫瘍径16mm以上, GGO>50%では21mm以上の症例を主に行い, 10例全てVATS下手術が完遂された。一方, VATS部分切除を試みた25症例では17例 (68%) が完遂されたが, GGO=0%で16mm以上の術中リンパ節陽性2例と, 腫瘍が深在性のため局所根治性不十分と術中判断した1例に対し標準開胸葉切除に変更した。また, 切除標本の術中検索から局所根治性不十分と判断した4例 (内, 1例はSMLC陽性) とCTマーキングエラーを認めた1例において標準開胸区域切除に変更した。pN1 : 2例, pN2 : 1例以外は, pN0で, 病理病期はIA期31例, IB期1例, IIA期2例, IIIA期1例。病理組織型は, 腺癌31例, 扁平上皮癌1例で, 腺癌では, Higashiyama分類IV型 (Ann Thorac Surg68 : 2068, 1999) には, VATS部分切除が施行されていたが, 同分類によるIII型は, 標準開胸移行例や, 葉切除を必要とする頻度が高かった。今までに, pN2症例1例の原発死と妥協的VATS1例が他病死し, 全症例の3生率は92%であった。「まとめ」肺癌を対象としたVATS切除の積極的適応には, 腫瘍の占拠部位, 腫瘍径とともに, 高分解能CTにおけるGGO比率を考慮することが重要である。病理学的には15mm以下のHigashiyama分類IV型はVATS部分切除の適応で, それ以外にはリンパ節転移に対するsampling以上のチェックと葉切除あるいは標準開胸への変更を念頭に術式を選択すべきである。またVATS部分切除時には, CTマーキングや腫瘍局所遺残のチェックとして肺切離面迅速洗浄細胞診を行うなど, 術中の適切な工夫と対応にて, 十分な根治性が得られるものと考えられる。
  • 高山 智燮, 山田 行重, 鎌田 喜代志, 内藤 彰彦, 中島 祥介
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1300-1305
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    早期胃癌465例のリンパ節転移状況について検討し縮小手術の可能性を考えた。リンパ節転移率はM癌で6例 (2.3%), SM癌で25例 (12.6%) で, ロジスティック回帰分析の結果, 深達度が最もリンパ節転移に関与する因子であった。M癌の転移陽性例はすべて陥凹型または進行癌型であったが, 転移危険因子は未分化型であった。SM癌では転移危険因子は特定されなかった。2群リンパ節転移の危険因子は未分化型であった。以上の結果よりM癌では分化型または隆起型はリンパ節郭清を必要としない縮小手術の適応とやり, 未分化型かつ陥凹型, 進行癌型はD1リンパ節郭清が必要と考えられた。SM癌については少なくともD1郭清が必要と考えられ, 特に未分化型に対してはD2郭清が必要と考えられた。しかし占拠部位別の2群リンパ節状況を検討した結果, D1+No.7, 8aの郭清が妥当であると考えられた。
  • 澤井 照光, 辻 孝, 福岡 秀敏, 進藤 久和, 地引 政晃, 中越 享, 綾部 公懿
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1306-1311
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去10年間に切除された80歳以上の大腸癌66例を対象とし, 同時期における41~74歳の大腸癌525例と比較検討した。高齢者群は対照群と比較して右側結腸が27例 (40.9%) と多く (p=0.0021), 低分化腺癌も6例 (9.1%) と多く (p=0.015), stage0・Iが10例 (15.2%) と少なく (p=0.012), stageIIは30例 (45.5%) と多かった (p=0.0049) 。腺腫・他臓器重複癌の頻度に差はなかったが大腸多発癌は12例 (18.2%) と有意に多かった (p=0.0068) 。第1度近親者における大腸癌の家族歴は11例 (16.7%) と高率であった (p<0.0001) 。治癒切除後の再発死亡例は6例であり, 全てD3郭清 (1例にcur B, 残る5例にcurA) の手術がなされていた。手術直接死亡例は4例 (6.1%) で, 術前PS低下や複数の臓器障害が高リスクと考えられた。死因はいずれも肺合併症で, 肺炎・肺塞栓の予防に関する現在のわれわれの指針について述べた。
  • 富田 凉一, 福澤 正洋, 池田 太郎, 越永 従道, 藤崎 滋, 丹正 勝久
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1312-1316
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小児期の潰瘍性大腸炎と大腸腺腫症におけるJ型回腸嚢肛門吻合術後例を, 肛門管電流感覚閾値測定検査により, 回腸瘻閉鎖術後1年目 (A群) と2年目 (B群) におけるsoilingの有無から肛門感覚機能について, 対照 (C群) と比較検討した。A群では, 80.0%にsoilingを認めたが, B群ではsoilingは認められなかった。肛門管電流感覚閾値は術後1年目のみ, 歯状線下部だけにおいてA群はB, C群より明らかに高値を示した。術後2年目ではA, B, C群の間に有意差は認められなかった。術後1年目では, 陰部神経知覚枝の手術操作による損傷が下部のみに存在し, 2年目ではその機能が改善すると思われた。なお, 排ガス・排便識別感覚は術後1カ月以内から正常に認めたことから, continence維持に重要な歯状線から口側の粘膜剥離を行っても, 同部の感覚能に問題は無かったが, soiling発生に肛門管下部感覚の低下が関与したと思われた。
  • 山岡 裕明, 檜山 英三, 横山 隆
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1317-1323
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    従来, 外科治療のみでは治療が困難な肺転移を有する肝芽腫進行例, 再発例の治療成績は悪く, 肺転移は予後不良因子の1つと考えられていたが, 最近集学的治療にて治癒する報告がなされてきている。当院では肺転移を有する進行肝芽腫の4症例を経験した。症例は全例男児で, 組織型は1例がpoorly differentiated typeで, 3例はwell differentiated typeであった。初診時肺転移を2例に認め, 1例は化学療法で肺転移は消失したが, 1例は化学療法後に外科的摘出術を行った。後者は肺転移巣が再発し, 再摘出後に2度目の骨髄移植を行って生存中である。また, 治療中肺転移を示した症例は2例で, 1例は化学療法で肺転移は消失し, 1例は外科的摘出術を行い骨髄移植を併用し, 良好な成績を得た。肝芽腫の肺転移に対しては, 化学療法を第一とし, その後に可能な症例では残存する転移巣を積極的に切除し, 骨髄移植を併用した大量化学療法が有効と考えられた。
  • 織井 恒安, 日置 正文, 家所 良夫, 増田 栄, 久吉 隆朗, 山下 浩二, 山下 康夫, 吉野 直之, 川村 純, 宅島 美奈, 村野 ...
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1324-1328
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1996年7月から2000年9月までに当科で行った開心術176例において, 周術期死亡は8例 (4.5%), この中で腸管壊死による死亡は4例 (2.3%) であった。基礎疾患は, 冠動脈疾患2例, 後天性弁膜症2例であった。維持透析中の1例を除いた3例は, 70歳以上と高齢者であった。全例大量輸血を必要とし, 1例では術後低心拍出量症候群を呈し, IABPを必要とした。それ以外の3例では, 術後カテコラミンは比較的低容量の使用であった。臨床症状において, 本疾患に特徴的といえる所見に乏しく, 血液生化学所見においても同様であった。ただ, 突然のアシドーシスの進行, GOT, GPT, CK, LDHいずれか, ないしは複数の著明な上昇は本疾患を診断する参考になると考えられた。病理組織学的所見から, 全例IMA, SMA本幹や主要血管に血栓を認めず, 腸管壊死は非閉塞性腸管虚血によるものと考えられた。
  • 坂本 純一, 加藤 潤二, 稲垣 均, 武内 有城, 市原 透, 小島 宏, 中尾 昭公
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1329-1332
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    小腸の広汎な切除やバイパス手術によるShort Bowel Syndrome (SBS) では胃酸の過剰分泌がおこり, 大量の水様下痢と電解質バランスの異常がひきおこされることが知られている。これらの症状を緩和し, 患者のQOLを改善, さらにcontrolに必要な医療cost削減の可能性を探索するため, SBSに対するシメチジンの有用性をwithin patient comparisonによる比較試験によって検討した。癌転移, 再発等によりSBSとなった5症例を対象として3~6日間シメチジン800mgを投与し, 同時期非投与期間における水様下痢排液量と回数, 尿量, 電解質バランスとの比較を行なった。排液量はシメチジン投与により全例で減少し, 2例で有意 (p<0.01), 尿量は逆に全例で増加し, 2例で有意 (p<0.005) であった。また電解質の排泄量にも減少がみられ, SBSで腸管のadaptationが不充分な時期における全身状態の管理とQOLの向上にシメチジンが有用であることが確認された。
  • 原 尚人
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1333-1336
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性。3年前より左乳房腫瘤を自覚するも放置, 半年前より増大あり受診。触診上8×8.5cm, 凹凸不整, 硬く辺縁不整の腫瘤を触知, 皮膚や胸筋に対する動きは良好, 腋窩リンパ節は触知しなかった。超音波, マンモグラフィーでは最大径9cm, 大小不同の石灰化が広範に散在しており, 穿刺吸引細胞診で乳癌と確定診断され (T3, N0, M0, StageIIB), 1997年2月26日手術施行。肉眼的に大胸筋への浸潤はなく, 胸筋温存乳房切除術 (児玉法) を施行した。割面では4cm径ほどの黄白色の腫瘤の周囲を取り囲むようにcomedoが広がっている様な印象であった。組織学的には中心部は線維化の強いmastopathyで周囲にpapillo-tubular ca.が広がり一部scirrhousに浸潤していた。リンパ節転移は1/24であった。術後45Gyの照射, CMF6クールを行い, 術後4年経過した現在, 局所再発, 遠隔転移の所見なく, 腫瘍マーカーも正常である。
  • 新海 清人, 本庄 誠司, 柴田 良仁, 進藤 久和, 古川 克郎, 木田 晴海
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1337-1340
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術前の血清CA-19-9が336.4ng/mlと高値を示した気管支性嚢胞の1例を経験したので報告する。17歳, 男性が胸痛を主訴として受診した。胸部X線写真では右肺門に半円形状陰影を認め, 胸部CT所見では後縦隔で気管分岐部, 左房, 食道の囲まれるように存在する最大径70mm大の嚢胞性腫瘤であった。開胸するに, 嚢胞は反復した炎症による強固な癒着のために完全に摘出することはできず, 残存した嚢胞壁内面を可及的に電気メスにて凝固焼灼した。現在, 術後15ヵ月経過するが, 血清CA-19-9は5.0ng/mlと正常であり, また画像診断上も再発なく, 健在である。
  • 久徳 茂雄, 佐藤 正人
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1341-1345
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    著者らがこれまでに経験した漏斗胸手術は16例であり, うち2例は飜転法 (Scheer法), 11例は挙上法 (Ravitch変法) であった。最近の3例はペクタスバーによるNuss法で漏斗胸挙上を行い (4歳男, 21歳男, 7歳女), いずれも内視鏡援助下に従来法よりはるかに短時間・低侵襲に良好な胸骨の挙上が行いえた。今後, 本法は前胸部正中を切開して軟骨切除を行う術式にとって代わるものと考えるが, バー挿入期間の合併症や長期成績についてはさらに多くの症例の検討を要する。
  • 田村 晃, 島田 長人, 蕪木 滋彦, 畠山 知昭, 村國 均, 金子 弘真, 柴 忠明
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1346-1350
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    比較的稀とされる下血を主訴とした十二指腸脂肪腫の1例を経験したので報告する。症例は70歳, 男性。下血による出血性ショックで入院した。低緊張性十二指腸造影検査で十二指腸前壁に約4×3cmの隆起性病変を認め, 内視鏡検査では同部に潰瘍形成を伴う粘膜下腫瘍を認めた。CT検査では十二指腸内腔に突出した低吸収域の腫瘍を認め, 腹部血管撮影検査ではhypovascularな所見を呈していた。以上より十二指腸脂肪腫と診断したが, 超音波内視鏡検査にて比較的均一な内部echoを呈すものの深部で一部irreguralityを認めたため悪性も否定できず, また最大径が大きく出血も繰り返したため, 外科的切除を施行した。病理組織学的には脂肪腫であった。自験例を含めた本邦報告86例について文献的考察を加え検討した。
  • Shiho SUGIMORI, Hisao FUJII, Hirofumi ISHIKAWA, Fumikazu KOYAMA, Seiji ...
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1351-1355
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    We report two cases of psoas abscess complicating Crohn's disease. A 24-year-old woman and an 18-year -old man, who had been on medication for Crohn's disease, began to experience right lower abdominal pain, mild lower back pain, and fever. In both cases, CT scanning demonstrated a low-density area within the right iliopsoas muscle, which suggested abscess formation. Both patients underwent drainage of the abscess with resection of the diseased bowel. Postoperative courses were uneventful. Crohn's disease has been known as one of the most common etiologies of psoas abscess in Western countries, but this complication was thought to be uncommon in Japan. The difference is due to the low incidence of the Crohn's disease, which is from a tenth to a fifth of that in Western countries. However, with an increase in the number of patients of Crohn's disease, reports on this complication have been appeared. In some cases without typical signs such as limb pain and hip contracture, it is difficult to diagnose psoas abscess. Because failure to recognize and treat psoas abscess results in considerable morbidity, physicians should be alert to the possibility of a psoas abscess if a segment of the diseased bowel is adherent to the anterior psoas fascia. Curettage and drainage of the abscess with resection of the diseased segment of the bowel is recommended, because of the risk of recurrence after medical therapy.
  • 小矢崎 直博, 湊屋 剛, 大西 一朗
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1356-1360
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性。平成12年5月, 当院の大腸癌検診で便潜血陽性であったがその後放置していた。10月27日来院し11月8日大腸内視鏡検査を施行した。上行結腸肝彎曲部近傍に2型大腸癌以外に, さらにその2cm口側に約1.5cm長の線状の潰瘍性病変を認めたが, その部位の生検による病理検索では悪性所見を認めなかった。11月29日右半結腸切除, D3リンパ節郭清を施行した。切除標本の病理検索で大腸癌近傍の潰瘍性病変に乾酪性肉芽腫を認め, 大腸結核と判明した。また癌リンパ節転移は認めないものの, 第2群まで結核結節が認められた。術前の胸部単純写真を詳細に再検討すると, 両肺野にかすかに写る彌慢性の陰影が認められた。ツ反は強陽性であったが, 咳, 痰等の呼吸器症状はなく, 喀痰, 胃液, 便検査, 切除標本から抗酸菌は検出されなかったため, 非活動性と考え現在外来で抗癌剤とともに抗結核薬の服用を継続している。以上より大腸内視鏡検査の生検病理検索で悪性を見出せない潰瘍性病変を認めた場合には, 炎症性腸疾患, 中でも最近増加傾向にある結核を疑い・その精査や既存検査の再検討が肝要と思われた。
  • 田中屋 宏爾, 小長 英二, 竹内 仁司
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1361-1363
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当科における過去12年間の腸膀胱瘻5手術例について検討した。平均年齢49.6歳, 男女比2 : 3, 主訴は全例糞尿であった。基礎疾患は子宮頸癌2例, 卵巣癌, 直腸癌, クローン病各1例で, 子宮, 卵巣癌3例は照射例であった。画像検査はMRIが瘻孔自体の描出に有用であった。子宮, 卵巣癌3例はいずれも根治不能で人工肛門造設術を行ったが, 術後2例に自然肛門からの排尿をきたし, 1例に尿管皮膚瘻の追加造設を要した。クローン病症例では腹腔鏡下に回腸部分切除, 瘻孔切除術を施行しえた。腸膀胱瘻の治療においては, 尿路変更術や腹腔鏡下手術の適応についても検討すべきと考えられた。
  • 島田 裕, 佐々木 章, 旭 博史, 斎藤 和好, 上杉 憲幸
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1364-1368
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性。糖尿病で近医通院中, スクリーニングの腹部CT検査で後腹膜腫瘍が判明し, 当科紹介となった。画像上, 右腎上内側, 下大静脈背側に充実'性腫瘍を認め, 栄養血管はinferior phrenic arteryから分岐していた。血中尿中のカテコールアミン値は正常であった。後腹膜神経原性腫瘍を疑い摘出術を施行した。術中の血圧変動はみられなかった。腫瘍は6.0×5.0×2.5cmで弾性軟, 薄い線維性被膜に覆われていた。組織学的にはparagangliomaであり, nonfunctioning, chromaffin paragangliomaと診断した。後腹膜paragangliomaは稀な疾患である。外科的摘出が第一の治療であるが, 術中操作によって急激な血圧変動をきたす症例もあり注意が必要である。組織学的な良悪性の判断は難しく, 術後の十分な経過観察が必要である。
  • 山本 保博
    2001 年 26 巻 5 号 p. 1369
    発行日: 2001/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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