抄録
下部尿管の損傷, 感染, 線維化あるいは腫瘍のような病変で, 下部尿管の再建手術が必要となった場合の手術法の一つとして膀胱のpsoas-hitch法がある。1979年から2001年までに兵庫医科大学泌尿器科において下部尿管の再建のために膀胱のpsoas-hitch法を施行した24例の患者の手術成績を検討した。24例のうち成人16例, 小児8例で, そのほとんどは骨盤内手術による尿管損傷で, 2例が尿管腫瘍であった。膀胱の周囲を剥離し可動性とし, 一側の腸腰筋に固定し尿管を吻合した。両側尿管の場合は一側尿管を他側に交叉性尿管吻合し, psoas-hitch法は一側のみとした。術後の成績は良好で, とくに合併症もなく, 尿管の再建は成功した。