2002 年 27 巻 6 号 p. 861-864
切除不能な幽門狭窄を伴う進行胃癌ではQOLを考慮し, 胃空腸吻合術が行われる。しかし, 術後の経口摂取状態は必ずしも芳しくない症例をしばしば経験する。そこで, 姑息的手術といえども改良工夫が必要と考え部分的曠置的胃空腸吻合術を施行しその有用性を検討した。対象は幽門狭窄を伴う切除不能胃癌で胃空腸吻合術が行われた症例を対象とし, 通常の胃空腸吻合術群 (N群 : n=10) と改良型の部分的曠置的胃空腸吻合術群 (I群 : n=7) に分け, 臨床的に術後胃管留置期間, 経口摂取状況, 術後入院期間, 在宅日数, 術後生存期間を比較検討した。I群において術後胃管留置期間, 術後経口摂取開始時期, 術後入院日数は有意に短かった。また, N群では在院死亡を4例に認めたのに対し, I群では一度は全例が退院可能で在宅日数も有意に長かった。切除不能な悪性幽門狭窄に対する部分的曠置的胃空腸吻合術は, 通常の胃空腸吻合術よりもQOLの向上に有益であると考えられた。