抄録
今回膵頭部癌において造影剤を使用したエコーを施行し, 腫瘍の局在診断に至った症例を経験したので報告する。症例は67歳, 男性。上腹部痛, 背部痛を主訴に当院受診。外来の腹部CT検査, 超音波検査では膵頭部に尾側膵管の若干の拡張がみられたが, 腫瘤の局在は不明であった。MRCP検査では主膵管が膵頭部にて一部途絶し, 尾側膵管の拡張を認めた。疼痛の増強と腹部膨満感の増悪のため精査入院となった。血管造影では特に異常は認めなかった。ERCP検査にて膵頭部での膵管の先細り状の途絶を呈したため, レボビストによる造影エコーを施行した。intermittent imageにて膵頭部に20mm大の不染領域を認めた。以上より膵頭部癌の診断にて全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した。術後経過良好にて退院し, 術後1年5ヵ月再発は認めていない。造影エコーを利用することで, 腫瘤の局在を明らかにでき, 局在診断に有用であったため, 報告した。